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国内外あらゆる業界の生産ラインに対し、独自のノウハウで計画提案から設備据付・保守までのサービスを提供するティーネットジャパン。そんな生産ラインの専門集団とも言えるティーネットジャパン AES事業部の浅井寛氏が、自動車工場の生産ラインの全体像、生産ラインのエンジニアリングの考え方のポイントなどについて解説します。
本記事は2024年10月22日開催「
第4回 ENAAスマート工場シンポジウム」(主催:エンジニアリング協会)の講演を基に再構成したものです。記事の内容はイベント当時のものです。
自動車工場の「生産ライン」の変遷
以前の自動車工場は単一車種を大量に作っていましたが、市場の変化により1つのモデルが大量に売れる時代ではなくなりました。
そこで消費者ニーズに応えるべく車種を増やしていく必要がありますが、日本の製造業が建てられる工場用の敷地は限られており、車種を増やしたから敷地を増やせばよい、というほど簡単な話ではありません。また、生産ラインを増やすと、そのメンテナンスの負荷も増えてしまいます。
そのため、複数のモデルを同じラインでモデルチェンジしながら製造し、生産のキャパシティを満たすような動きが必要になったわけです。
そして、これに対応するための生産ラインの工夫が行われてきました。同じ設備で、形の違う車を作るためには、生産技術部門と設計部門の協力が不可欠になります。
以前からSE(Simultaneous Engineering:最終製品と生産設備の開発を同時並行で進めることで開発工程の短縮を図る手法)という言葉が使われてきましたが、生産品質向上やコスト削減以外に、共用ラインで作れるような自動車を設計するという点においてもSEの役割が重要になってきているのです。
どの工程が生産量を決める?「生産ラインの流れ」解説
自動車工場には、大きく、圧造(プレス)工程・溶接工程・塗装工程・組立工程・検査工程という流れがあります。
この中で、塗装工程が工場のキャパシティを決める要素になります。
他の工程は設備や人の拡張などによる対応でキャパシティのコントロールができる可能性があるのですが、塗装は化学変化を用いた工程なので、一旦工程を作ってしまうとそのキャパシティに生産量が縛られてしまいます。
圧造(プレス)工程はロット生産で、以降はシーケンシャル(順列生産)で流すというのが基本的な生産スタイルになります。
計画通りに流してもトラブルなどにより、途中で自動車をラインから出して修正するような場合もあります。計画通りの順番で組立工程に至らない場合も発生するわけです。
これに対応するために、溶接工程と塗装工程の間にバッファを設け、溶接工程に一時的な停止が起きても、塗装工程に「待ち」がでないようにしたり、塗装工程と組立工程の間にバッファを設け、前工程から計画された順列通りに出てこなかった場合にも、その対応を順列通りに戻すための余裕を設けるなどの対応を行っています。
組立工程で順列を守らなければいけない背景には、組立工程においては、計画された順列通りにサプライヤーなどから部品が納入されるように依頼をしていることなどがあります。自動車工場の中にできるだけ部品や中間在庫を置かない用にしているため、こういった対応が必要となるのです。
「順列生産」のメリットとは? 工夫すべきポイントも解説
前述のように、圧造のような工程を除き、日本の工場では順列生産が基本となっています。その目的・メリット・工夫すべき点には下記が挙げられます。
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