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- 2023/08/18 掲載
物流の働き方改革に“批判の嵐”…? “馬鹿げた悪政”でも頼るしかない「3つの理由」
連載:「日本の物流現場から」
物流の2024年問題は“悪政”だが“必要悪”
番組中では、レギュラーコメンテーターの先生方から、「『物流の2024年問題』なんて止めてしまえば良い!」「前言撤回は、政府の得意技なんだから!」という発言が飛び出し、そのまま番組はエンディングを迎えた。
そのため、筆者自身も『物流の2024年問題』廃止論者だと感じた視聴者もいたらしい。「前言撤回」のくだりは、「なるほど確かに…」とは思ったが、あくまで筆者の立場は、(番組内でも言ったのだが)「『物流の2024年問題』は悪政だが、必要悪」である。
「物流の2024年問題」はなぜ必要?【理由その1】
筆者が「物流の2024年問題」が必要だと考える理由の1つは、運送会社が運賃値上げ交渉を優位に進められる環境が整えられたことだ。荷主側に、もはや運賃値上げ要請を断ることはできない──これは先日取材したある大手メーカー物流担当者の言葉である。
「物流の2024年問題」によって、「運賃値上げ交渉はやむなし」の社会情勢ができつつあることに加え、2022年12月に行われた公正取引委員会による社名公表(価格転嫁協議に応じなかった佐川急便、デンソー、JA全農など13社)が後押しをしている。
これまでは、運送会社が荷主に対して運賃交渉を行っても、門前払いをくらうことが少なくなかった。運賃値上げを受け入れてくれたケースでも、トレードオフとして、ドライバーによる自主荷役、棚入れ、時間指定配送などのサービス業務を受け入れざるを得ず、これが巡り巡ってドライバーの長時間労働などにつながっていた。
こういったトレードオフの条件なしに、運送会社が運賃交渉を優位に進められる環境が整いつつあるのは、間違いなく「物流の2024年問題」における功罪の「功」の部分である。
先の大手メーカー物流担当者の言葉には続きがある。 【次ページ】「物流の2024年問題」はなぜ必要?【理由その2・その3】
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