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- 2025/04/28 掲載
【見逃し厳禁】2025年度10の「フィンテックトレンド」、生活や業務が一変する理由
前編はこちら(※この記事は後編です)
トレンド(1):パートナー連携が活発化する
フィンテックが2015年に始まった当初は、「フィンテックが金融業界をディスラプトする」といった面白おかしい取り上げ方が少なくなかった。そのような対決的な態度はすでに過去のものになっている。実際、2024年度には歴史ある金融機関とフィンテック企業の間の連携の深化を示唆する事例が多数報道された。いくつか例を挙げる。
- 三菱UFJファイナンシャル・グループによるロボアド最大手ウェルスナビの子会社化
- マネーフォワードが家計簿アプリ事業を分離、三井住友カードから出資を受ける
- 住信SBIネット銀行アプリからデジタル証券のオルタナに誘導
- みずほ銀行とGMOインターネットグループで企業間決済システム
- 三井住友FGとインフキュリオンで法人向け決済サービス
このような連携深化は、「フィンテックは特別なものではなく、フィンテックこそが普通の金融サービス」という認識を踏まえれば不思議ではない。マス層ユーザー獲得のためには、革新的プロダクトだけでなく既存顧客からの信頼やクロスセル営業力、コンプライアンス体制などさまざまな要素をそろえる必要がある。
新興フィンテック企業と歴史ある金融事業者が補完しあいながらマス市場獲得してゆくのが2025年度のフィンテックだ。競争激化と表裏一体であって、事業者にとっては厳しい状況ともいえるが、大局的には金融サービス利用が活性化し、パイが拡大してゆく成長期にあたる。
トレンド(2):モダンな金融ITインフラが重要に
パートナー連携は、ユーザーへの付加価値向上に直結してこそ意味がある。シームレスなUIの実現には、企業の垣根をまたぐ即時性の高いシステム間連携が求められる。他業界に比べて金融業界ではAPI活用が遅れていたが、2025年度はAPIを含め企業間の柔軟な接続を可能にするモダンなITインフラの重要性がさらに増してゆく。前編でも触れたが、2024年度は企業間連携による組込型金融のサービスがいくつも登場した。
JR東日本の「JREバンク」、Kyashの「Kyashスポットマネー」、Finswerの「Finswer Bank」などが該当する。「JREバンク」には楽天銀行が、「Kyashスポットマネー」にはアコムの子会社であるGeNiEが、そして「Finswer Bank」には北國銀行がそれぞれ金融機能を提供している。
マス層向けフィンテックが主戦場となる中、モダンな金融ITインフラは競争力の中核に位置付けられていく。
【次ページ】フィンテックと決済を取り巻く、残り「8つのトレンド」を詳説
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