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日本とは真逆…米国が「V字回復」できたワケ
今回の米大統領選で、トランプ氏は「米国を再び偉大な国に」と訴えた。しかしここで示した図を見る限り、米国はすでに偉大な国になっている。1人当たりGDPで見る限り、米国はOECD平均の2倍ほど豊かな国だ。しかも、その値が傾向的に上昇している。
米国の復活は、すでに1990年代から始まっている傾向的な現象だ。
第二次大戦後、圧倒的な経済力を持っていた米国はヨーロッパ諸国よりはるかに豊かな国であったが、その後停滞に転じた。これは図の左側半分で米国を示す線が長期的に低下していることによって示されている。
しかしこのような傾向は1990年代から反転し、米国の線は上昇に転じている。そしていまに至るまでこの傾向が続いている。
こうした変化をもたらしたものは、IT革命だ。つまり、米国が情報通信の分野で、新しい技術の開発と新しいビジネスモデルの確立に成功したからだ。それまでの大型コンピューターによる情報処理からPCとインターネットを通じる分散型の情報処理システムへの移行に成功し、GAFAと呼ばれる企業群をはじめとして、多くの新しい企業が登場した。
危機的状況に「気付いてない日本人」がまだ多い…
これに対して、日本では危機意識がない。本当は、日本の低下傾向を食い止めなければならないのだが、そのような声は上がらない。それどころか、図に示したような状況が進行していることに気付いていない人がほとんどだ。
多くの人は、物価が上昇しないことが日本経済衰退の現れだと捉えている。そして、ここ数年物価が上昇し始めたので、デフレからの脱却が可能になりつつあるとしている。つまり、その意味で日本経済が新たな段階に入ったというのだ。
しかし物価が上昇しても、人々の暮らしは貧しくなるばかりだ。しかもここ数年の物価の上昇は、日本経済の内在的な変化によって生じたことではなく、コロナ後に米国で生じたインフレが日本に持ち込まれたことによって起こっているにすぎない。
だから本当に問題にすべきは、1人当たりGDPに示される豊かさがどう変化しているかだ。図に示したように、世界の各国が目覚ましい成長を遂げているにもかかわらず、日本が成長しないというのが現状なのだ。
先般の総選挙においても、「日本を偉大に」と訴えた候補者は、私の知る限り、いなかった。少なくとも、それが総選挙の大きな争点にならなかったことは間違いない。
これまでの傾向を逆転させるためには、日本がいまどのような状態にあるのかを正しく知ることが必要だ。
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