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- 2024/03/11 掲載
努力しなくなった日本人……9年で2.6倍、日本のデジタル赤字が示す「ヤバすぎる現実」
連載:野口悠紀雄のデジタルイノベーションの本質
日本のデジタル赤字が「9年で2.6倍」
日本のデジタル関連の国際収支の赤字が年々拡大しつつある。日本経済新聞の記事によると、2023年の日本におけるデジタル関連の国際収支の赤字は前年から16%増え、5.5兆円に拡大した。2014年の2.6倍だ(図1)。そして、2023年の原油および粗油輸入11.3兆円の半分程度になる。かなりの額だ。
「デジタル赤字」という概念は、もともと日本銀行の資料で分析されていたものだが、若干広すぎるとも考えられる(厳密に言うと、デジタルに関連しないものも含まれている)。
そこで、もう少し範囲を狭めて、国際収支統計の「通信・コンピュータ・情報サービス」だけをとってみる。
日本はデジタル分野で「世界一の赤字国」
国際収支統計の内訳で見ても、2023年で1.63兆円の赤字と、かなりの額だ。2021年の値で国際比較をすると、日本は153億ドルの赤字(当時の為替レート1ドル110円で換算すると1.68兆円)。他の国よりもはるかに大きく、世界一の赤字国だ。2位はドイツ(89億ドル)、3位フランス(81億ドル)。このように、日本の赤字額は突出している。
他方で、受け取り超過(黒字)国は、次のようになっている。アイルランド1,936億ドル、インド1,051億ドル、イスラエル404億ドル、イギリス245億ドル、米国167億ドル、中国106億ドル。
米国の黒字は、日本の赤字とほぼ同額。このように、日本と米国は対照的だ。
世界最大の黒字国がアイルランドなのは、米国IT企業の対ヨーロッパサービスの拠点になっているからだろう。これは、アイルランドが奇跡的な成長を実現し、ヨーロッパで最も豊かな国の1つになった原動力だ。
米国は、貿易収支はおろか、経常収支も赤字だ。しかし、最先端の分野においては、黒字になっているのである。 【次ページ】努力しなくなった日本人…AI時代が「最後のチャンス」
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