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企業規模によって賃金に格差が生じる。だが大学卒業者のうち大企業に就職できるのは、4割強に過ぎない。これを偏差値で考えてみた時、大企業に就職しやすい大学群の境界線は日東駒専や大東亜帝国クラスとなる。こうした学歴問題を見ると、日本衰退を招いた基本的な問題が浮かび上がる。
企業規模の違いで賃金に「激しい格差」
日本は学歴社会だと言われている。つまり、企業の採用は学歴によって大きく左右するとされる。大卒などの高い学歴があれば、大企業に就職できる。そして、高い給料と充実した福利厚生など、恵まれた生活を一生にわたって送ることができる。しかし、学歴がなければ、そうした会社に就職することができない。
これが学歴社会だ。実際、日本の賃金は企業規模によって著しい格差がある。
令和4年賃金構造基本統計調査によれば、男性の平均月額賃金は、大企業で38万6,600円、中企業33万1,200円、小企業30万8,100円、女性の平均月額賃金は、大企業27万8,200円、中企業25万7,000円、小企業24万1,300円となっている。
日本では、転職が頻繁には行われず、最初に就職した企業で定年退職まで勤務する場合が多い。したがって、卒業時点で大企業に就職できるかどうかが、その人の一生を大きく左右してしまう。
そして、大企業に就職できるかどうかは、学歴によって左右される度合いが大きい。だから、「日本は学歴社会」と言われるのだ。企業の採用方針が適切かどうかはさておき、まず、大卒者のうちどのくらいが大企業に就職できるのかを見ることにしよう。
大企業への就職は「大卒で42%」「高卒で25%」
雇用動向調査(2022年)の「企業規模別、学歴別」によると、年間の大学卒新規採用者は、約49万人だ
(注1)。このうち大企業(従業員数1000人以上)の採用が約21万人(大卒全体の42.9%)になっている(図)。
注1)文部省の「
学校基本調査」によれば、2021年3月大学卒のうち就職者は43万2790 人だ。このうち一部は公務員に就職する。2021年度の国家公務員総合職試験の合格者数は1834人だ。地方公務員はこの4倍とすると7400人程度なので、合計で1万人程度だ。すると、大学卒の民間企業就職者は、年に42万人程度ということになる。これは、雇用動向調査の49万人に比べれば、やや少ない。
それに対して、高校卒の新規採用約62万人のうち大企業は、約16万人(高卒全体の25.2%)だ。
このように、高校卒で大企業に就職するのは大学卒より難しい。大企業に就職することが最終目的であれば、大学進学はその目的達成の確率を引き上げる有効な手段だということになる。
ただし大学卒であっても、すべての人が大企業に就職できるわけではない。特に大企業の場合、「ターゲット校」(採用重点校)があり、選考の過程で、大学名でフィルターをかける「学歴フィルター」もあると言われる。
では大卒の中でも、大企業に就職できる境界線は、具体的にどこなのか?
【次ページ】日東駒専と大東亜帝国、「大手就職の難易度」に差はあるか
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