- 会員限定
- 2024/02/26 掲載
日本人はなぜ勉強しなくなるのか?「世界最高の子供」が「低レベルの大人」になるワケ
連載:野口悠紀雄のデジタルイノベーションの本質
日本人の能力は「世界の最低水準」
前回、人口当たりの論文数を見ると、日本の成績は極めて悪いことを示した。指標によっては、世界最低に近い。日本の成績が望ましくないのは、これに限ったことではない。さまざまな国際競争力ランキングが公表されているが、日本の成績はおし並べて悪い。たとえば、スイスのビジネススクールIMDが作成する国際競争力ランキングや世界人材ランキング、世界デジタル競争力ランキング、そしてEF EPI英語能力指数ランキングなどで、日本の成績が極めて悪い。
こうしたものを見ていると、日本人の能力がもともと低いのではないかと、悲観的な気持ちになってしまう。
しかし、決してそんなことはない。その証拠に、小中学校レベルでの学力テストの国際比較を見ると、日本の成績は極めて高いのだ。
OECD(経済協力開発機構)が行っているPISA(Programme for International Student Assessment)という学力調査を見ると、それが明らかだ。これは、義務教育修了段階の15歳の生徒が持っている知識や技能を測ることを目的とした調査だ。
知識や技能を、実生活のさまざまな場面で直面する課題にどの程度活用できるか測ることを目的としている。科学的リテラシー、数学的リテラシー、読解力の3分野について、測定される。ほぼ3年に1回行われる。2022年調査では、世界81カ国・地域から約69万人が参加した。
日本人の子供の能力は「世界のトップレベル」
日本はPISAで、毎回、世界の最上位に近いところに位置している。日本は、調査開始時点(2000年)から順位が高かった。そして、その状況が最近に至るまで続いている。2022年調査の結果を見ると、次の通りだ(括弧内の左側はOECD加盟国中、右側は全参加国・地域中における日本の順位)。
数学的リテラシー(1位/5位)
読解力(2位/3位)
このように、3分野のすべてで、日本は世界のトップレベルにある。しかも日本は、前回の2018年調査より向上している。すなわち、OECDの平均得点は低下したのに対して、日本は3分野すべてで、前回調査より平均得点が上昇したのだ。
OECD加盟国での順位の推移を見ると、図に示す通りだ。
関連コンテンツ
PR
PR
PR