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- 2024/10/21 掲載
なぜか衆院選で「議論にならない」7つの重要争点、人気取り政策ばかりの絶望
連載:野口悠紀雄のデジタルイノベーションの本質
「国民負担」増加の議論から逃げている
衆議院議員総選挙に向けて各党の政策が公表されている。だが経済・財政問題について言えば、問題は、財源の裏付けのない人気取りのばらまき政策ばかりで、財源を明示した責任のある政策が何も打ち出されていないことだ。与野党とも、負担増の議論からはまったく逃げてしまっている。つまり、国民は避けて通れない負担増について、意見を反映させる手段を失っていることになる。
そもそも選挙とは、実現してほしいと願う政策を提示している政党を選ぶプロセスだ。どの政党もそのような政策を提示していないのであれば、選挙は意味のないものになってしまう。
石破 茂内閣の表看板政策は、地方創成だ。それをどのようにして実現するのかと言えば、交付金を増額するのだという。では、その財源はどこから調達するのか? それについては何も具体案が示されていない。
【消費税の廃止・減税】財源の具体案なし
各党の財政関連政策の中では、消費税の減税にかかわるものが多い。共産党は、消費税廃止に向かって、ただちに5%の引き下げを求める。日本維新の会は、消費税減税による消費拡大を訴える。国民民主党、れいわ新選組なども、消費税の減税や廃止を訴える(立憲民主党は、消費税減税より先に、給付金付き税額控除が必要としている)。
しかし、消費税を廃止または減税して社会保障の支出を減らすのでなければ、他の税を増税して、社会保障の財源を確保しなければならない。では、どのような財源を考えるのか? これについて、各党は具体案を示していない。
石破内閣の交付金引き上げにしても、野党の消費税減税にしても、財源を明確に示さなければ、まともな政策とはとても言えない。しかも、何のために消費税を減税するのか? 所得税や法人税でなく、消費税を減税するのはなぜか? といった理由もはっきりしない。 【次ページ】【防衛費の増額・社会保障制度の維持】財源はどうなる?
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