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  • 2024/07/15 掲載

国民年金の積立が「2059年に無くなる」衝撃試算…それでも納付期間を延長しないヤバさ

連載:野口悠紀雄のデジタルイノベーションの本質

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7月3日に公表された今回の財政検証は、前回に比べて、収入に対する年金給付額の割合が改善された。しかし、ある経済成長ケースを想定した場合、国民年金の積立金が枯渇し、年金額の割合が大きく落ち込む予測も出された。政府はそれでも国民年金納付期間延長を行わない方針だが、問題を放置することは許されない。
執筆:野口 悠紀雄
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成長型経済移行・継続ケースの場合、年金はいくらもらえるか。別のケースでは積立金が枯渇する可能性も…(後ほど詳しく解説します)

経済前提は「4つのケース」を想定

 7月3日、「国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し―令和6(2024)年財政検証結果―」が厚生労働省から公表された。財政検証は年金財政の健全性を確認、点検し、将来の公的年金の給付水準を5年に1度試算するものである。

 経済前提として、次の4つのケースが示されている。

  1. (1)高成長実現ケース
  2. (2)成長型経済移行・継続ケース
  3. (3)過去30年投影ケース
  4. (4)1人当たりゼロ成長ケース

 各ケースでの経済成長率や実質賃金上昇率の想定は、図1に示すとおりだ。

画像
図1:経済前提で示された4ケースにおける各種指標の想定
(厚生労働省の資料より筆者作成)

 4つのケースのうち、(1)高成長実現ケースと(2)成長型経済移行・継続ケースは、日本経済の実態に比べて楽観的すぎると考えられる。それは、実質賃金上昇率を見るとわかる。

 これは、年金財政の収支に大きな影響を与えるのだが、(1)では2.0%、(2)でも1.5%という高い値に設定されている。現実には、実質賃金上昇率はマイナスを続けているのだから、高すぎる。現実的なのは、(3)の「過去30年投影ケース」だろう(実質賃金上昇率は0.5%)。

 財政検証は、これら各ケースにつき、マクロ経済スライドによる給付の抑制がいつまで続くか、「所得代替率(注)」がどの程度にまで低下するかなどを試算している。

注) 公的年金の給付水準を示す指標。現役世代の男性の平均手取り収入額37万円に対する年金額の比率で算出する

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次のページ以降では、成長型経済移行・継続ケースの場合の年金給付額をシミュレーションするとともに、4つのケースごとの代替所得率をさらに深堀るなど詳しく解説します
【次ページ】2059年度、国民年金の積立金が「枯渇」する可能性も…?
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