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全世代型社会保障の考えに基づき、医療保険や介護保険における保険料の自己負担割合が引き上げられている。ここで重要なのは、所得の種類によって負担の大きさに不公平さが生じていることで、たとえば金融資産からの所得では負担が軽くなるのだ。この問題は、決して軽視してはならない問題だ。
介護&医療保険で「高齢者負担の拡大」が続く
後期高齢者医療において、これまでの自己負担割合は原則1割、所得の多い世帯で3割だった。これが改正され、2022年10月から、1割負担だった人のうち所得が一定以上ある人について、自己負担割合が2割となった。変更の対象者は、後期高齢者医療制度の被保険者の約20%に上る。所得の多い世帯は引き続き3割なので、結局3段階の区分になった。
さらに2023年5月に健康保険制度が改正された。後期高齢者医療制度の年間保険料が、2024、2025年度の2年間で、全体平均で年約5,200円引き上げられる。
介護保険では、65歳以上の介護保険料が2024年度から引き上げられた。これまでは所得に応じて9段階に分かれていた国の標準区分を変更し、13段階に増やした。これまで最も高い所得区分で、基準額の1.7倍だったのが、最大2.4倍に引き上げられた。
今後の焦点になるのが、介護保険の利用料を2割負担する人の対象拡大だ。政府は2024年度に、介護サービス利用費における2割自己負担の対象者を広げる方針を示し、少子化対策の財源確保に向けた社会保障改革の計画「改革工程」の素案に盛り込んだ。改革工程は、2023年12月5日の経済財政諮問会議で示された。
しかし強い反発を受け、引き続き検討が行われることになっている。政府は新たな期限として、「2027年度の前」までに結論を出すとしているが、合意形成がどこまで進むか、先行きは見通せない。
【次ページ】高齢者負担の引き上げは「所得の範囲」が超重要
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