- 2024/10/10 掲載
「カーボンニュートラル×BaaS」はなぜスゴい? GMOあおぞら銀とUI銀が先陣を切れたワケ(3/3)
UI銀行:関西電力に対するデジタル金融サービス提供
UI銀行を傘下に持つ東京きらぼしフィナンシャルグループは、関西電力に「ゼロカーボン社会の実現に向けた新たなデジタル金融サービス事業」を提供することについて基本合意に達したことを2024年8月に発表している。関西電力は、銀行代理業を取得して、UI銀行が開発した預金・決済・送金などの銀行機能を、クラウド経由でBaaS(Banking as a Service)として利用することになる。そして顧客である電力消費者向けの口座振替サービスのほか、「グリーン預金」や「エコ住宅ローン」、などの新しいデジタル金融サービスを提供することによって、ゼロカーボン社会の実現に向けたサステナブルなお金の循環を創出していくことを狙っている。
具体的には、新しいデジタル金融サービスにおいて顧客から集める預金については、UI銀行や東京きらぼしフィナンシャルグループが運用を担い、ゼロカーボン社会の実現に資する企業や事業向けの投融資に限定する「グリーン預金」や、高い省エネ性能などを有する環境配慮型住宅向けの「エコ住宅ローン」などを取り扱う。グリーン金融を軸としたエコシステムの実現を図っていくというのだ。
関西を地盤とする関西電力と東京を地盤とする地銀である東京きらぼしフィナンシャルグループの組合せはユニークではあるが、支店を持たずにスマートフォンだけでサービス提供を行っているUI銀行については地理的な制約は存在しない。
これまでにはなかった「グリーン金融」の実現に向けた連携は、新しい資金の循環創出に加えて、一般消費者のカーボンニュートラルについての意識変革、ひいては行動変容につながることが期待される。
BaaSの出口としてのカーボンニュートラル
これまでにBaaSとして提供されている住信SBIネット銀行の「NEOBANK(JAL、ヤマダ電機、高島屋、京王等に提供」や楽天銀行(JR東日本、第一生命等に提供)の場合には、既存の顧客基盤を持つ事業者に金融サービスを提供することによって、顧客の固定化を図るとともに、満足度を向上させることが狙いというケースが主流であった。しかし、今回紹介した2件においてはBaaS提供の目的が「カーボンニュートラル」の推進という点は、これまでになかった新しい動きと考えられる。
しかも、担い手となったネット専業銀行は、後発のGMOあおぞらネット銀行(2018年開業)、UI銀行(2022年開業)という点も、両行がBaaSの新しい可能性に挑戦している点から注目される。
特に、GMOあおぞらの場合には、BaaSのみならず、デジタル通貨の発行という挑戦も行っており、ほかにどのような利用が展開されるかという点も興味がつきない。
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