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  • 2023/02/21 掲載

【2023年最新版】NFTの実用化はどう進んでいる?注目すべきSoulboundトークンの動向

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2021~2022年にかけて投機的な思惑で高騰を続けたNFT市場だが、2022年後半から大きく失速し、現在ピーク時に比べ規模は大幅に縮小している。しかし、2023年からはNFTに実用的な機能が実装されていく見込みで、社会・経済のさまざまなシーンでNFT利用が拡大、それに伴い市場も回復・安定化する公算が高まっている。NFTの実用化はどのような場面で進んでいるのか。また、期待されるSoulboundトークンの可能性とは。
執筆:細谷 元
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NFT市場が回復・安定化する公算大
(Photo/Getty Images)

2022年のNFT取引高、ピーク時の2021年と同水準

 2022年に大きく失速した印象があるNFT市場だが、NFTの取引高は2021年とほぼ同じ水準だったことがDappraderのデータから判明した

 2022年のNFT市場におけるオーガニック取引高は、247億ドルと、ピークとなった2021年の251億ドルと比べ若干低い程度であったのだ。

 オーガニック取引高とは、価格操作目的で行われる仮装売買(wash trade)を排除した取引高のこと。NFT市場では、価格をつり上げる目的で、仮装売買が行われることが多く、名目上の取引高もそれに伴い増加してしまう。仮装売買による取引高を排除することで、適正な取引高を示すことができる。Dappraderのデータからは数十億ドル分の仮装売買が排除されたという。

 Dappraderのデータでは、2022年のNFT市場では、2021年に比べ取引量が大きく伸びたことも明らかとなった。2021年の取引量は5860万回、これに対し2022年は1億100万回と2倍近く増加した。2021年と2022年の取引高がほぼ同じ水準であったことを考えると、取引1回あたりの価格(USD)がほぼ半分になったことになる。

 2022年のNFT市場は、1~5月ごろまで2021年の盛り上がりの余韻が残り、活発な取引が行われていた。しかし、5月の暗号通貨LunaとステーブルコインUSTの暴落をきっかけに、NFT市場も取引高・取引量ともに激減、月間取引高は2022年5月の33億ドルから、6月には10億ドルと1/3以下となり、その後も10億ドルを超えることはなかった。


 このような状況下にあるNFT市場だが、2022年12月の取引高が若干改善されたほか、NFT関連暗号資産への資金流入が活発化しており、2023年のNFT市場への期待は高まりつつあることが見て取れる。

 Dappraderのデータによると、2022年12月のオーガニック取引高は6億8,400万ドルと11月の6億6,200万ドルから2,200万ドル増加。また、取引量は11月の480万回から670万回と40%近く増加している。

Maroon5が利用する音楽チケットNFTの取り組み

 NFT市場が安定的な発展を実現するには、現実世界におけるNFTの利用価値を高めることが求められるところ。現在すでにNFTの特性を生かした実用的な取り組みが始まっており、ウェブ3やメタバース関連の動きとともに、今後大きく発展することが見込まれる。

 注目される領域の1つがチケット/イベント参加証としてのNFT利用だ。

 NFTをライブイベントなどのチケットとして活用することで、発行側と受取側の双方に恩恵があると考えられており、実際に取り組みが始まっている。

 発行側の恩恵としては、所有者のイベント参加確認が容易になるだけでなく、NFTを介した新しいプロモーションが可能になること。たとえば、特定トークンの保有者のみがアクセスできるサイトへ優待したり、NFTの種類ごとに送付するお知らせを分類し、ターゲティングの精度を高めることなどができる。

 NFTチケット分野ではいくつかのプレーヤーが存在するが、とりわけ注目されているのがYellowHeartだ。

 YellowHeartは、主に音楽分野を対象にしたウェブ3プラットフォームを構築、アーティストがNFTチケットの発行やNFT保有者に対し、特別なコンテンツを配信できる仕組みを提供している。すでに、Maroon5などの著名アーティストらが同プラットフォームを利用しており、2022年にはさまざまなメディアが同社の取り組みを伝えている

画像
YellowHeartは主に音楽分野で特別なコンテンツを配信
(出展:YellowHeart

 イベント参加に関しては、ブロックチェーンを活用した「Proof of Attendance Protocal(PAOP)」という仕組みもあり、NFTチケットとともに、ウェブ3時代のイベント参加のあり方を変える存在として関心を集めている。

 PAOPは、イベント参加者がブロックチェーン技術を活用してデジタルバッジやコレクションを作成できるプロトコルで、音楽以外の分野でも活用方法が模索されている。

 たとえば教育やトレーニング分野では、出席記録をリアルタイムで自動で取得・確認できるPAOPを導入すれば、参加管理の精度を高めつつ管理コストを削減できることが期待される。またカンファレンスでは、参加者の出席を確認しつつ、リワードを提供したり、スポンサーやパートナーなど重要人物の出席を確認することも可能となる。

【次ページ】NFTの新しい試み、Soulboundトークンの可能性
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