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JFEスチールはいち早くAI導入で何をした?「製造業を変える」本気のDX/AI戦略

労働力人口の減少、熟練技術者の高齢化など、製造業を取り巻く環境は厳しい。こうした難しい課題の解決に、デジタルの力を使って果敢にチャレンジしているのがJFEスチールだ。その取り組みは、社内で蓄積されたノウハウを汎用的な仕組みとして外部に提供するまでに進んでいる。そして、同社の取り組みを技術面で支援しているのが日本アイ・ビー・エム(以下、IBM)だ。両社のキーパーソンに、製造業が抱える課題とその乗り越え方を聞いた。

このままでは事業継続の危機…製造DXを阻む2つの特有課題

 総務省の「令和4年版情報通信白書」によると、2050年の生産年齢人口(15~64歳)は2021年から約30%減少すると見込まれている。これは、現在従業員が1万人の企業は7000人に減ることになり、適応するためには、事業を縮小するか、30%以上の生産性向上を目指すしかないことを意味する。

 特に製造業では独自の課題もある。それが熟練技術者の技術伝承だ。彼らが引退するまでに、若手技術者に技術をいかに伝え、企業の資産として残していくかは、事業を継続していくうえで重要なテーマとなっている。

 現在、多くの企業が取り組んでいるDXも、こうした課題解決に不可欠な取り組みに他ならない。ただし、そのDXに苦労している製造業が多いのも事実だ。JFEスチール 専務執行役員 DX戦略本部長 サイバーセキュリティ統括部担当 新田哲氏は、その理由を次のように説明する。

「DXにおいて最も重要なのは、データの整備です。ところが、製造業においては、OT(制御技術)とIT(情報技術)のデータ統合に苦労している企業が少なくありません。その理由は、歴史的な経緯もあり、OTとITはシステムのアーキテクチャーも管理する組織も別々であることが多いからです。さらに、現場における『暗黙知』が非常に多く、それをデータ化し、活用することに苦労している企業も少なくありません」(新田氏)

 これらは、もちろんJFEスチールにとっても重要な課題だが、同社はこれらの課題にいち早く取り組んできた。ここからは、同社のDXの取り組みと、その成果に迫る。

この記事の続き >>

  • ・OTとITの分断問題を「システム」「組織」両面で解決、JFEスチールのDX/AI戦略の詳細
    ・サプライチェーンの上流だからこそ責任重大な「故障復旧」作業をどう効率化?
    ・年480時間削減、いち早くAIを導入して実現した仕組みとは?
    ・AIの本格活用を成功させる「3つのポイント」

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