• 2024/10/23 掲載

“物流を変える”注目の「荷物新幹線」、JR東日本が開発予定?鉄道各社が注力するワケ

連載:小林拓矢の鉄道トレンド最前線

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JR東日本は、新幹線での荷物輸送専用車両の開発を進めている。1編成につき2両ほどを荷物専用とする「貨客混載」方式よりも効率的に荷物を運べるようにする狙いだ。新幹線を運行している各社では、速達性を活かした新たなビジネスとして荷物輸送に注力しており、物流業界の人手不足対策だけでなく、新幹線ならではの迅速な輸送手段としても注目されている。では、各社が提供するサービスにはどのようなものがあるのだろうか。今後の輸送サービスの発展性、さらには解決すべき課題について解説する。
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新幹線の荷物輸送が注目されている理由とは
(Photo/Shutterstock.com)

何が違う? 鉄道における「貨物」と「荷物」

 鉄道の速達性や定時性を旅客輸送以外の分野でも生かしたいと考える鉄道会社は多い。機関車による長編成の列車での貨物輸送ではなく、旅客用の車両を活用して比較的小規模な荷物をトラックよりも早く、時間もきちんと読めるような状態で運べないか──そのような考えから、さまざまな鉄道会社が小規模で高速な輸送サービスを提供するようになった。

 小型トラックを用いて高速道路で運ぶ場合と、在来線や私鉄の特急を利用して運ぶ場合では、所要時間に大きな差はない。こうした列車を利用した輸送の取り組みが見られるが、速達性で大きな効果を発揮するのは新幹線を利用する場合だ。

1ページ目を1分でまとめた動画
 その前に、鉄道における「貨物輸送」と「荷物輸送」の違いについて簡単に説明しておきたい。まず、「貨物輸送」は、貨物専用の列車を使用し、大量の物資を運ぶものであり、これは主にJR貨物が担っている。

 一方、国鉄時代から「荷物輸送」というものが存在している。これは旅客列車に連結された車両、あるいは旅客列車と同等の水準の列車ダイヤを使用した専用列車を使用し、さまざまな荷物を運ぶものだ。

 鉄道やバスにおいて「貨客混載」という場合、それほど多くない荷物と旅客を一緒に運ぶものであり、大量の物資を運ぶわけではない。そのような場合、専用の列車や大型トラックを使用するのが適している。

 新幹線や特急において「貨客混載」などという試みが行われている場合には、基本的に「荷物」を運んでいる程度の分量だと考えて問題ない。

 貨物列車は昔から存続して運行されているが、荷物輸送は国鉄時代の終わりごろには縮小していった。

 荷物輸送では小荷物のほかに、新聞や雑誌なども運んでいた。また、長距離郵便も鉄道で運ばれていた。しかし、高速道路網の充実によるトラック輸送の発展や宅配便の普及、さらに新聞に関しては分散印刷の普及により、速達性が求められる荷物輸送の需要は低下していった。

 鉄道による「モノ」の輸送は、大量輸送を必要とする直行の貨物輸送がほとんどとなっている。この点については、前提条件として、鉄道の輸送サービスに関心を持つ多くの人々に理解しておいてもらいたい。

新幹線などによる「荷物輸送」が注目されるワケ

 鉄道会社が、鉄道を活用した新たな輸送サービスの可能性を模索し始めたのは、2017年7月のことである。その後、駅ナカで販売する商品を新幹線や特急で輸送するという実証実験が繰り返し行われた。野菜や果物から始まり、鮮魚や駅弁へと拡大し、その鮮度の高さが評価された。

 実証実験を経て、2021年10月には「はこビュン」というサービスが開始された。その後、車両基地を活用し、駅のホームを使わずに大量輸送を行う試みも始まっている。

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JR東日本が展開している列車荷物輸送サービス「はこビュン」とは
(出典:国土交通省「列車荷物輸送サービス『はこビュン』」)
【次ページ】「荷物専用車両」の実用化で日本の物流が変わる
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