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そのほかのJR旅客会社でも、新幹線を活用した荷物輸送の挑戦は続いている。JR九州は2021年5月に「はやっ!便」を九州新幹線で開始し、集荷や配送を含めたサービスを提供している。
JR西日本では、2020年2月に北陸新幹線で、2021年11月には山陽新幹線や在来線での荷物輸送事業を開始した。JR北海道でも2020年8月にJR東日本と連携し、鮮魚などの輸送を行っている。
JR東海では、2024年4月に東海道新幹線で「東海道マッハ便」を開始。これにより、新幹線を利用した荷物輸送のネットワークが完成した。
このネットワークができたことで、速達性が求められる荷物、特に生鮮食料品を短時間で運ぶシステムが構築されることになり、トラック輸送では実現が難しい高速輸送が可能となったのだ。
輸送スペースとしては、使用されなくなった車内販売のスペースや、一部の車両に乗客を乗せず確保したスペースが活用されている。
ほかの輸送手段では不可能な新幹線の速達性を活用し、迅速に顧客のもとに届けたい品物を運ぶことが新幹線による荷物輸送の特徴だ。
新幹線の事業者によって取り組みの温度差は多少あっても、高速鉄道の特性を活かそうという方向性は共通している。
JR東日本が「荷物専用新幹線車両」の開発を検討中
2024年10月1日、新幹線が日本に登場して60周年を迎えるにあたり、朝日新聞がJR東日本による荷物専用新幹線車両の開発をスクープした。
同紙によると、1編成の新幹線に荷物専用車を組み込み、輸送量の向上をめざすという。座席を取り払った車両にドアが拡大され、1編成に2両程度組み込む想定だ。
しかし、これらについて検討すべき課題も多い。荷物の出し入れにはドアは広いほうが望ましいが、新幹線のドアは狭くないと気密性を保つことができない。両開きのドアの導入は新幹線では難しく、ドア幅を広げるにも限界がある。
さらに荷物の積み下ろしには時間がかかる。特に東京駅を使用する場合、折り返し時間が短いため、大量の荷物を迅速に下ろす方法を検討する必要がある。
また、東京駅では多くの人がいる中での荷物の積み下ろしが行われるため、ホームの端に停車する先頭車両が使用されることが想定される。先頭車両は乗車できる人が少ないため、ここを使用するということは妥当だろう。乗客が通り抜けできない車両であり、かつ人の移動を考えると、先頭およびその次の車両くらいしか利用できる車両はないといえる。
新幹線は貨物列車やトラックに比べ、振動が少ないという特性を持っており、食品や精密機器などの破損リスクが低いというメリットもある。そして、たとえ先頭車両であっても新幹線車両1両を使用するとなると、相当量の荷物が輸送可能となる。
その場合、既存の駅を使うのか、あるいは車両基地を使うのかも注目されるポイントだ。JR東日本は車両基地の活用に向けた実験を進めているが、車両基地を使用する場合、駅よりもタイムロスが発生しやすくなる。
1車両あたりの輸送量を増やすと、その分だけ時間もかかることになる。
「荷物専用車両」の実用化で日本の物流が変わる
JR東日本で荷物専用車両が成功すれば、線路が接続している東北・北海道、上越、北陸の各新幹線だけではなく、システムの異なる東海道・山陽・九州新幹線でも導入されるかが注目される。
荷物新幹線専用車両を開発しているJR東日本の東京駅からは、北海道や北陸までの各方面に新幹線が運行されているため、導入が進めば広大な範囲からの輸送が可能になることは確かだろう。
筆者としては、東北・北海道方面へのE5系(およびH5系)、新潟・北陸方面へのE7系(およびW7系)の後継車両導入の際に、荷物専用車両が導入されるのではと予想している。
荷物専用車両が実用化されれば、生鮮品などの物流に大きな変革がもたらされるだろう。
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