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  • 2024/04/15 掲載

佐川急便やマツキヨも導入で注目度が急上昇、「日本発 軽バンEV」の知られざる正体

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CO2総排出量に占める運輸部門の割合は約17.4%、そのうち自動車は86.8%を占める。トラック輸送が日本の物流の9割超を担うことから、自動車のCO2排出は物流業界全体の課題となっている。そこでガソリン車からEVへの切り替えが選択肢に挙げられるが、そうした中で勢力を伸ばしているのが日本発のEVベンチャー、ASFだ。まだ一般的な認知度は低いが、すでに佐川急便やマツモトキヨシが採用するなど、注目度を高めている。ASF 執行役員 社長室 室長 兼 事業企画部 部長の松本 勝成氏に、自社開発のEVについて紹介してもらいつつ、物流業界における環境問題について語った。
執筆:阿部欽一、撮影:吉成大輔

執筆:阿部欽一、撮影:吉成大輔

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日本発EVベンチャーのASFが開発する軽バンEVの中身とは
本記事は2024年2月29日開催「ReVision商用車・物流サミット2024」(主催:ReVision Auto&Mobility)の講演を基に再構成したものです。記事の内容はイベント当時のものです。

運輸部門はCO2を「約2億トン」排出

1ページ目を1分でまとめた動画
 国土交通省によると、2021年度のCO2総排出量(10億6400万トン)のうち、運輸部門が占める割合は17.4%(1億8500万トン)と、大きな割合を占めている。こうした状況に対し、物流業界でラストワンマイルを担う軽貨物車市場に焦点を当てたEVベンチャーが、2020年6月に設立されたASFだ。

 同社 執行役員 社長室 室長 兼 事業企画部 部長の松本 勝成氏は、「ファブレス(工場を所有せずに製造業としての活動を行う)EVメーカーとして、ゼロからオリジナル車を開発しており、現段階の事業フェーズはCラウンドを展開中です。2023年から限定的な量産体制に入っています」と説明した。

画像
ASF
執行役員 社長室 室長 兼 事業企画部 部長
松本 勝成氏

 同社は開発・設計を担当しており、それ以降の部品調達、組み立て・完成、保険・販売、サービスといった一連のプロセスはパートナー企業と連携している水平分業型のビジネス形態を取っている。松本氏は「小さいマーケットに特化し、パートナーと連携しながら市場環境に柔軟に適応したサービス展開が可能です」と説明する。

 また同社は、車両の製造、販売だけでなく、コネクテッドサービス・保険・メンテナンスサービスなどをパッケージで提供する「トータルファイナンス事業者」を目指している。

佐川急便やマツキヨらが採用する「軽バンEV」

 同社がターゲットとする市場は物流業界だ。ラストワンマイルを担う、いわゆる商用軽バンは現在、「多くの事業者は10年サイクルで車両を更新」(松本氏)しており、年間の新規登録台数では40万台に上る。同社はこの市場に対して、オリジナルEVの提供を開始しているところだ。

 上述した運輸部門におけるCO2排出量のうち、貨物車(営業用貨物車・自家用貨物車)の排出量の割合は営業用が23.0%、自家用が16.8%を占める。「我々はこの貨物車のゾーンにおいて、ガソリン車からリプレース可能なEVの提供を始め、物流業界全体のCO2削減に貢献していく」(松本氏)方針だ。

 そこで同社は、佐川急便と共同でEVを開発。それが「ASF2.0」だ。2023年から、佐川急便やマツモトキヨシなど、一部の物流・小売事業者への提供を開始している。

 これらの特定事業者に対しては「直営業」で販売を行っているが、同社はそれに加え、各パートナー企業との連携による「ディーラーバターン」、紹介を行う「代理店パターン」の3形態の販売手法を想定。たとえば、パートナー企業であるコスモ石油の「コスモMyカーリース」でも取り扱いも開始している。

 松本氏は「2024年は、さらなる量産、量販体制を加速させていきたいと考えています」と抱負を述べる。 【次ページ】ガソリン車とEVの「コスト」を比較
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