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- 2024/04/19 掲載
なぜ佐川ら競合とも協力? セイノーが目指す「物流プラットフォーム」のスゴイ中身
「自前」でなく「他社と連携・協業」で物流課題に対応
セイノーホールディングス 執行役員 ラストワンマイル推進チーム担当の河合 秀治氏は、「政府による政策や荷主からの理解、支援に頼るだけでなく、民間事業者として、我々も課題解決に取り組んでいかなければなりません」と危機感を示す。
物流企業単体での課題解決が難しいと判断したセイノーは、オープンイノベーションの取り組みを2016年ころから本格的にスタート。「自前で取り組むのではなく、他社との連携、協業を通じて、さまざまなノウハウ、知見を活用していくこと」を基本的な考え方とした。
当初は、スタートアップ企業との協業や出資を目的として開催されるアクセラレータープログラムを通して投資を行い、その後もさまざまなスタートアップへの投資を展開。ジョイントベンチャー(JV)設立やM&Aなどにも取り組んだ。2019年には、自己資金でファンドを組成しベンチャー企業に出資・支援を行うCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)を設立。また社内には、イノベーション推進役として「オープンイノベーション推進室」を設立した。
佐川急便ら「競合他社と協力」するワケ
河合氏は2023年に策定した「中長期の経営の方向性~ありたい姿とロードマップ2028~」を紹介。その中核を成す重要テーマの1つが「M&A・オープンイノベーション」だ。具体的には、「新規事業を創出するとともに、M&Aによる買収、CVCからの出資により、スタートアップと一緒にプロジェクトを組成、運営していきます」と河合氏は説明する。たとえば、2022年6月にラクスルと共同で、JVのハコベルを設立。ラクスルが開発した物流プラットフォーム「ハコベル」の事業を切り出し、新会社として独立させるカーブアウトにより設立された。
ハコベルは、全国の提携運送会社の非稼動時間を有効活用し、緊急で荷物を送りたい荷主企業と、空いた時間に仕事を受注したい軽貨物運送事業者をつなぐマッチングサービスを展開している。
そして、2024年2月には、オープンイノベーションプラットフォーム「AUBA(アウバ)」で「SEINO O.P.P. INNOVATION PROGRAM」を開始した。 【次ページ】佐川急便ら「競合他社と協力」するワケ
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