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2024年1月1日に発生した能登半島地震。被災地における家屋の倒壊や水道管の破裂、液状化現象など、さまざまなニュースを目にしたのではないでしょうか? これらを修復するのは、建設業者の大きな役割です。実際に、この地震で破損した道路の緊急復旧をするために、不眠不休で作業をしている建設業者がたくさんいました。このように、災害現場では数多くの従業員が作業していますが、有事の際にも働き方改革は関係するのでしょうか? 今回は、自然災害時における建設業界の対応について、働き方改革と絡めて解説します。
災害時の対応における「労働条件」とは
建設業界の自然災害時の対応については、労働基準法に記載があり、第33条第1項では、以下のように、法律で定められている労働時間以上に労働をさせることが可能になっています。
「災害その他避けることのできない事由によって、臨時の必要がある場合においては、使用者は、行政官庁(労働基準監督署)の許可を受けて、その必要の限度において第32条から前条まで若しくは第40条の労働時間を延長し、又は第35条の休日に労働させることができる。ただし、事態急迫のために行政官庁の許可を受ける暇がない場合においては、事後に遅滞なく届け出なければならない」
労働基準法の第139条でも、災害時の復旧・復興のことが触れられていますが、イメージとしては、労働基準法第139条のほうが範囲が広く、第33条のほうが限定的です。
「災害らによる臨時の必要がある場合」の許可基準としては、地震、津波、風水害、雪害、爆発、火災などの災害への対応と記載されており、今回の能登半島のような地震は、これまでの経験上、まさに許可基準に該当することになります。
また、原則として、事前に許可を受けることとなっていますが、実務上は事態が急迫のため、事後的に届出をする場合がほとんどです。そして、この自然災害時の対応が、働き方改革とどういった関係にあるかいうと、具体的には下記の図のような形になります。
この図は、36(サブロク)協定の届出様式がどの様式になるか、また、労働基準法第33条の許可・届出との関係がわかるフローチャートになっています。
36協定で定めている限度時間・回数を超える時間外労働・休日労働があったとしても、それが公益・人命保護のために緊急を要する災害対応であれば許可等を得ることで、36協定で定める限度とは別に、労働をさせることが可能になります。
では、具体的に、自然災害時の対応をしているときに、どういったところに留意するべきなのか解説していきます。
【次ページ】自治体との連携も影響を及ぼす「ある問題」
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