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- 2024/03/11 掲載
日の丸EV「一番人気」の日産サクラ、中国BYDに「完全勝利」している強みとは
連載:EV最前線~ビジネスと社会はどう変わるのか
大人気の「日産サクラ」
全国軽自動車協会連合会(全軽自協)の統計によると、日産サクラは2023年の年間で3万7140台が販売された。
昨年最も売れた国産EVとして話題となったサクラは、2023年5月に発売されたハイトワゴン型の軽EVである。日産と三菱自動車の合弁会社であるNMKVが企画開発した車種で、同じ規格を持つ「兄弟車」として三菱自動車からはeKクロスEVが発売されている。
両車は発売からわずか2カ月で2万8000台の受注を得ており、1カ月で1万台以上という数字は、国内新車販売でかなり上位の売れ行きだと言える。
両車併せての累計販売台数は現在、7万2500台を超えている。ことにサクラは、軽自動車販売においても、年間を通じて月別販売台数(月販)3000台を超えており、全国軽自動車協会連合会(全軽自協)が公表した最新の新車販売台数でも15位以内に存続する状況となっている。 軽自動車販売で首位を堅持し続けるホンダN-BOXの2万台近い平均月販台数に比べれば遠く及ばないが、EVが新車販売の統計で上位の常連となった意味は大きい。
この2台の軽EVによって、国内で新車販売の1%以下とされてきたEV販売は、2~3%へ上昇し、海外と肩を並べるまでにはまだ至らないが、国内でもEVへの関心の高まりを伝える材料となっている。
一体なぜ、2台の売れ行きはこんなにも好調なのだろうか。
両車が好調な理由とは
日産サクラと三菱eKクロスEVの販売が好調な第一の理由は、新車価格だと言える。サクラの最廉価モデルであるSグレードは、発売当初は233万円強から購入可能で、上級車種のGグレードでも約294万円と300万円を切っての価格であった。
eKクロスEVもほぼ同額だが、2車種の選択肢のうち廉価なGグレードが239.8万円、上級車種は約293万円である。
ただ現在は、半導体など部品供給の問題により、両車ともやや値上がりしており、サクラは250~300万円、eKクロスEVは約254~308万円だ。
新車EV購入に際しては国からの補助金があり、両車の場合だとその額は55万円。東京都は自治体として独自の補助金制度があるため、その補助金も込みにすると合計90万円近い補助が受けられる。
このため、現在でも廉価な車種であれば170万円を切って手に入れられることになる。ほかの自治体で国の補助金のみの場合でも、200万円そこそこで購入できるだろう。
日産自動車および三菱自動車の広報の話によると、これまでの累計販売台数における車格の比較では、サクラは6:4の比率で廉価車種が多く、eKクロスEVも似たような56:44の比率で廉価車種が上回るという。やはりEVの購入に際しては、価格が大きな要素の1つである様子が伺える。 【次ページ】BYDに「圧倒的」に勝利している強み
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