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- 2023/11/14 掲載
アップルとテスラに共通する「切実すぎる」経営事情、自らに課した「進化の重圧」とは
iPhone15が14Proから受け継いだ「3つの機能」
2023年9月のアップルの新製品発表会で、iPhone Proの特徴的な機能が下位版のiPhoneに多数搭載されることが発表された。まず、iPhoneの新旧での製品構成は、次の図1の通りだ。今回、注目したいのは、旧上位モデルのiPhone14 Proから、新たな下位モデルのiPhone15に引き継がれた次の3つの特徴だ。
- (1)カメラ性能:iPhone15のカメラの画素数(48万画素)は、iPhone14 Pro、iPhone15 Proと同等にスペックアップ
- (2)プロセッサー:頭脳とも言えるプロセッサーは、iPhone14 Proの「A16 Bionic」を、iPhone15に搭載(前モデルの上位機種の頭脳を最新モデルの下位版が受け継いだ形となる)
- (3)ダイナミックアイランド:上位モデルの大きな特徴だったダイナミックアイランドも下位モデルに搭載
つまり、2023年のiPhoneは上位モデルと下位モデルの差が縮まったわけであり、iPhone Proシリーズを買わなくとも同様の高性能な機能を使えることに喜びを感じたユーザーも多いはずだ。この機能継承を図解すると、次のような形になる(図2)。
上位モデルの有意な点は、機能を継承した分、格段に減っているが、こういった変化はテスラにも起きている。
テスラのModel 3が受け継いだ最新機能
先日発表されたテスラのModel 3の大型アップデートにも、アップルと同様の特徴が見られ、上位モデルの機能やオプションを最新の下位モデルに採用する形を取った。ちなみに、テスラの製品構成は次の通り。こちらは発売年ではなく、車両タイプ(セダン/SUV)を横軸にとり、比較している(図3)。テスラの場合で、上位モデルから下位モデルに引き継がれた機能やオプションは、たとえば次の3つが挙げられる。
- (1)サイドレバーの廃止+ハンドルの進化:方向指示器やワイパーのサイドレバーを廃止し、ハンドル上のボタンで操作する形を採用
- (2)後部座席用のモニター搭載:後部座席で動画視聴やゲーム、空調操作、前の座席の前後移動を操作できる機能を搭載
- (3)新色の塗装が選択可能に:上位モデルでは2023年から選択可能になった「ウルトラレッド」が、下位モデルでも塗装オプションとして選択可能に
図にすると次の図4の通りだ。
これだけでなく下位モデルのModel 3では、シート内部から送風するベンチレーション(空調)機能や、車内のLEDイルミネーションなど、むしろ現状の上位モデルにはない特徴まで備えている。
こうした下位モデルの進化の傾向からは、新たな市場を開拓してきた両社ならではの事情が垣間見えてくる。 【次ページ】機能継承が2社に与える「大打撃」
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