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- 2023/08/08 掲載
顧客の言いなりから脱却へ……物流業界を大変革する「ロボットサブスク」という新潮流
連載:「日本の物流現場から」
物流ロボットが普及しない、高すぎるハードルとは
たとえば、物流倉庫内にベルトコンベア等の荷物搬送路が張り巡らされた自動倉庫。たとえば、多数のラックに自動で荷物が搬出入される自動ラック。たとえば、荷物を1つずつ器用につまみ上げ、箱やパレットに積み付けていくピッキング・積付けロボット。あるいは、倉庫内を自走して、貨物や製品を搬送するAGV/AMRなど。筆者が2019年にレポートした、「AutoStore(オートストア)」(※マルイのEC物流センター内で利用)も、物流ロボットの1つである。なお、自動倉庫や自動ラックを物流ロボットに含めないとする見解もあるが、本稿ではまとめて物流ロボットとする。
物流ロボットは、人手不足が深刻化する物流ビジネスにおいて、省人化を実現し、さらに倉庫内業務における生産性を向上させる救世主として期待されている。
だが物流ロボットに限らず、産業用ロボットは総じて高額である。すでに述べた通り、数千万円から数億円単位の投資を必要とする物流ロボットを導入できるのは、一部の現場に限られていた。
倉庫内において、荷物を作業員の手元まで搬送し、作業員の負担を減らしてくれるGTP(Goods to person)では、AGVやAMRが担い手として期待されるところだが、これらは自動倉庫などに比べてはるかに安価である。だがそれでも1台100万円以上するものもあり、まとまった数を必要とする物流現場では、この高額な初期投資コストが、導入へのハードルとなっていた。
物流ロボ サブスクが大注目される「3つの理由」
ところがここにきて、AMR・AGVなどの物流ロボットを、サブスクリプションサービスで提供する物流スタートアップが登場し始め、注目を集めている。ちなみに、ロボットをサブスクリプションで提供するサービス形態を、「RaaS(Robotics as a Service)」と呼ぶ。たとえば、2019年に創業した+Automationの場合、初年度における同社の物流ロボット導入拠点数は5拠点だったが、わずか4年間で100拠点、約3400台にまで急拡大した。
物流ロボットのRaaSが、ここまで注目を集めている理由は何か? 筆者は、「手軽であること」、「変化に強いこと」、「利用企業のオリジナリティが出しやすいこと」の3点だと考えている。 【次ページ】物流のロボットサブスクが注目を集める「3つの理由」を深掘り解説
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