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米国の大統領選挙の結果や新型コロナウイルスのワクチン開発進展の報道などもあり、米ナスダック指数の年初来騰落率は30%を優に超え、日経平均株価もバブル崩壊後の高値を更新するなど、株式市場はまさに「お祭り騒ぎ」状態だ。ここまで短期間のうちに株価が上昇し投資信託や株式の含み益が膨らむと、喜びもつかの間、反落を警戒して一気に不安心理にさいなまれた読者も少なくないはずだ。そこで今回は、上昇相場で着目すべきポイントについて解説したい。
日経平均最高値更新の背景
2020年最大のイベントであり、リスクでもあるとされてきた米国大統領選挙は、最終的に民主党のジョー・バイデン氏が勝利を収め、決着した。
今回の大統領選挙は当初、勝敗の確定まで時間がかかることが予想されており、空白期間の長期化が株価の押し下げ要因になることも懸念されていた。
ところが、フタを開けてみれば勝敗は比較的早く決まり、また新型コロナウイルスのワクチン開発進展の報道も相まって、2020年11月以降、米国を中心に世界の株価は大きく反発。これに伴い、日経平均最高値を更新した。
相場変動の時に考えたい「リバランス」の基本
短期間のうちに相場が大きく動くと、投資家の方から「リバランス」について質問を受ける機会が増える。
一般的に、相場が動けば、投資家の保有している資産のいずれかが値上がり(値下がり)する。そうなれば、投資家が当初予定していた保有資産全体のバランスは崩れてしまう。たとえば、当初、「現金多め、株式少なめ」というバランスを設定していたものの、株価が上昇し保有資産全体に占める株式の割合が増えれば、「現金少なめ、株式多め」といったバランスになってしまっていることがあるだろう。
こうした局面で必要なのがリバランスだ。リバランスとは、相場変動によって変化した保有資産の配分比率を当初の状態に戻す作業のこと。仮に、特定の資産が値上がりし、保有資産に占める比率が高くなると、必然的にその資産のポートフォリオにおける影響力は大きくなる。
そこで、価格が上昇した資産を売り、比率の低下した資産を買い増すことで保有資産の配分を元の比率に修正し、同時にポートフォリオ全体のリスクも当初の水準に戻すというわけだ。
リバランスの前提にあるのは、「運用の軸」となる基本ポートフォリオ(保有資産の比率)だ。年金基金のような、いわゆるプロの投資家の世界では、投資運用をはじめる前に、中長期的な目標リターンと想定リスク水準を決めた上で基本的なポートフォリオを策定し、そのポートフォリオに基づいて資産運用を行う。プロの投資家は、基本の形を決めたら、そのバランスを崩さないよう資産運用に取り組んでいるわけだ。
相場上昇局面におけるリバランスも、さらなる利益を獲得するテクニックと考えるのではなく、あくまでも基本ポートフォリオの状態を維持することが目的にあるのだ。
したがって、プロの投資家のように、基本となるポートフォリオの形を決めていない場合は、まず後述する基本ポートフォリオの原型を作るところから始めてほしい。
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