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  • 2020/09/09 掲載

ESG投資、注目銘柄4選とは?コロナ禍でもなぜ健闘したのか

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近年、企業活動のうち「環境(Environment)」、「社会(Social)」、「企業統治(Governance)」の項目がどれだけ優れているかをチェックし投資判断に活かそうとする、いわゆる「ESG投資」が世界で浸透しつつある。こうした中、ここでは多くの投資家が抱く、「そもそもESG投資って何」や「結局、ESG投資は儲かるのか」、「個人投資家はどうやってESG投資をすれば良いのか」といった疑問に答えたい。
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「結局、ESG投資は儲かるのか?」、「個人投資家はどうやってESG投資をすれば良いのか?」──。このような疑問に対する答えとは
(Photo/Getty Images)
 

そもそもESGとは?

 ESG投資とは、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)といった企業の非財務情報を考慮して行う投資のことで、2000年代初頭から欧州を中心に広がりを見せるようになった。日本でも、2006年の国連責任投資原則(PRI: Principles for Responsible Investment)の策定以降、金融機関が相次いで同イニシアチブへの賛同を表明し、署名に至ったという経緯がある。

 かつては社会課題への対応という色合いが強かったESGの概念だが、現在は、主に投資信託や年金の運用を担う受託者(運用会社)が、受益者(最終投資家)に対して果たすべき受託者責任の一環として取り入れられている。

 より具体的には、最終投資家の中長期的なリターン拡大のため、投資先を選定する際の判断材料として、業績予想だけでなく、企業のガバナンスや社会貢献活動などの非財務情報をも活用する、という考え方である。受託者による投資先企業の選定のための指針であり、問題のある企業を排除するためのスクリーニング項目として利用されることもある。

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最終投資家の中長期的なリターン向上のため、投資先を選定する際の判断材料として活用されるESG
(Photo/Getty Images)
 

ESG投資は儲かるのか?……投資家の間違ったESG認識とは

 国内外のさまざまな実証研究によれば、非財務情報を重視したESG投資の考え方と実際の企業業績の間には正の相関関係が見られるという。ESGが企業業績、ひいては株価にプラスの影響があるとすれば、投資家の立場からするとESG評価の高い株式銘柄を組み入れた投資信託やETF(上場投資信託)に期待を寄せたくなるところだ。

 しかし、前述の通り、投資信託運用におけるESGの概念はあくまでも、「運用を担う受託者(運用会社)が、受益者(最終投資家)に対して受託者責任を果たすための指針」であって、単に高いリターンを追求するためのものではない。

 受託者責任の中には、もちろん最終投資家の中長期的なリターンの拡大も含まれているが、本来は“リターンの質”と“投資対象の持続性”を追求することこそがESGの本質である。

過去、ESG投資が流行らなかった理由

 先述の通り、日本でも2006年の国連PRIをきっかけに、ESG投資が広まりつつあるかのように見えた。実際に、個人向けの公募投資信託の世界でも、SRI(社会的責任投資)や環境保全といった非財務情報をテーマに掲げた投資信託が話題を集めた。しかし、その多くは満足な運用成績をあげられず、また残高も増えず、一過性のブームに終わってしまったという苦い過去がある。

 当時、日本の資産運用界でこうしたテーマが定着しなかった理由は大きく分けて2つある。

 1つは、年金基金などの機関投資家が、説明コストの大きさなどを理由に積極的な採用を行ってこなかったという点だ。運用会社は年金基金に対して、また、年金基金の担当者は受益者に対して、それぞれESG投資の意義について説明し理解を得る必要がある。これが「説明コスト」である。

 年金基金としては、リターンを積み上げていく必要があるわけで、わざわざ「説明コスト」という追加的なコストのかかるESG投資を選択するインセンティブがなかったと言える。

 2つ目の理由は、リテールの世界における個人投資家の傾向である。非財務情報を活用した投資は本来、長期的な視点を持った運用が前提にあり、半年や1年で結果が出る類のものではない。


 しかし、欧米に比べ、確定拠出年金制度や非課税口座の普及が遅れていた日本ではそもそも、長期投資を通じて「時間に投資をする」という考えが希薄である。このため、短期間で結果を期待する受益者(投資家)と、長期の運用を想定する受託者(運用会社)の間にミスマッチが生じていたのだ。

【次ページ】日本におけるESG投資の火付け役は誰だったか?
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