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- 2023/04/24 掲載
超高齢社会ニッポンに迫る「超・人手不足」時代……ChatGPTなどAIは救世主になれるか
連載:野口悠紀雄のデジタルイノベーションの本質
日本の高齢化は「世界断トツ」
国立社会保障・人口問題研究所の推計(出生中位、死亡中位推計)によれば、15歳から64歳の人口は、2040年に約6000万人となる。これは、2020年の約7400万人の81%でしかない。これによって、労働力不足が深刻化する。労働力率が変わらなければ、2040年の労働人口は、2020年時点の労働人口に対し81%まで減少することになる。労働力率を引き上げれば労働力は増加するが、あとで述べるようないくつかの問題がある。
中国や韓国でも出生率の低下が続いているが、日本の少子高齢化の問題はそれらの国よりはるかに進んでおり、将来の労働力減少も世界に例を見ないほど顕著だ。
世界銀行のデータによれば、2020年時点の合計特殊出生率は中国で1.28、韓国で0.84となっている。一方、日本は1.34であり、この点では韓国の方が深刻だ。
しかし高齢化の度合いでは、日本が突出している。
総務省の資料によると、2021年時点における日本の65歳以上人口比率は29.1%であり、世界で最も高齢化が進んでいる。これに対して、中国の65歳以上の人口比率は12.4%、韓国は16.6%だ。
問題だらけの日本政府の「労働力不足」対策
労働力の減少に対処するために、高齢者や女性の労働力率を向上させることが考えられる。高齢者の労働力活用に関しては、政府が定年制度の見直しなどを進めている。また女性の労働力率向上については、政府が女性の活躍推進や育児支援策を実施している。こうした施策によって、数字上では労働力は増加するだろう。しかし、それが生産性の向上につながるかどうかは明らかではない。
実際、女性の労働力率は上昇しているが、非正規労働者が多い。また高齢者の場合、スキルの問題があり、労働力率の上昇が生産性を下げてしまう危険性もある。
女性の労働力率引き上げに関しては、家庭や職場での役割分担や働き方の改善が求められる。労働力率は高まっているものの、管理職や専門職への登用が進んでいない。このため、生産性の向上には問題が残されている。 【次ページ】AIは労働力不足を解決してくれるのか?
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