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- 2023/09/22 掲載
「iPhone対Android」どちらがよいかを今さら比べるワケ、iPhone15やPixelでどうなる?
連載:石野純也のモバイル最前線
モバイルOSは2大勢力の“寡占状態”に
黎明期には「Windows Mobile」や「Firefox OS」「Tizen」など、“第3のOS”と呼ばれるさまざまなプラットフォームが立ち上がっていたスマートフォン市場だが、その試みはいずれも失敗に終わり、現在はAndroidとiOSの寡占状態に陥っている。例外的にファーウェイが「Harmony OS」を採用しているが、これは同社が米国の制裁を受け、グーグルのサービスが利用できないための代替措置。世界的に見て、2つのOSがシェアを二分している状況は変わっていない。
ただ、その2大勢力もシェアが固定化しつつある。AndroidからiPhoneに、またはiPhoneからAndroidに乗り換えるユーザーは限定的で、同じOSを使い続ける傾向は高い。
グーグル、アップルともに、プラットフォームを移行するためのツールを用意し、その利用を促すキャンペーンを展開しているものの、大きくは動いていないのが実態と言えるだろう。
公正取引委員会が2月に発表した『モバイルOS等に関する実態調査報告書』にも、そんな現状を反映したデータが挙げられている。
同調査では、直前に使用していたプラットフォームをたずねた設問があるが、iPhoneユーザーの88.1%がiOS、Androidユーザーの96.8%がAndroidと回答している。
AndroidからiPhoneに移るユーザーの比率は若干多いものの、2大プラットフォームの流動性は限りなく低いと言えそうだ。
この資料によると、ほとんどのユーザーが同じプラットフォームで機種変更していることが分かる。その比率はAndroidの方が高い。
OS別に見たプラットフォームの流動性
このような状況が前提にあるなか、編集部からある依頼があった。そのテーマが、「iPhone vs Android」だ。最初に話を聞いたとき頭に浮かんだのが、「なつかしいテーマだな」という感想だ。実際、スマホ黎明期には、このような切り口の特集が多かったような印象がある。最近では、X(旧Twitter)に挙がった極端な意見しか見かけなくなった(そして、たいてい炎上している)こともあり、比較にニーズがあるのかはつかみかねていた。
プラットフォームの乗り換えが少ないということは、すなわち、もう一方が眼中にないユーザーが多いからだ。
しかし、上記の調査報告書を読み進めていくと、流動性がゼロになったわけではないことも分かる。
次に購入するスマホをたずねた設問では、iPhoneユーザーの80%、Androidユーザーの56.8%が今と同じプラットフォームを維持すると回答。過半数はiPhoneならiPhone、AndroidならAndroidを選ぶ格好だ。
一方で、特にAndroidユーザーは、OSによらずに端末の良しあしで選択すると回答している率が16.4%と高い。相対的に、Androidユーザーの浮気性が目立つ結果だ。
プラットフォーム変更の意向を聞いた設問では、Androidユーザーの半数近くが「分からない」か「端末の良しあしで選択する」と回答。プラットフォームをまたがった乗り換えもありうることを示唆している。
また、「分からない」という回答まで含めると、その割合は43.2%。半数には届かないものの、それに迫る割合のユーザーがAndroidを離れる可能性を示唆している。
iPhoneユーザーは、自らが使用するプラットフォームへの忠誠度が高いが、それでも2割は次に購入する端末もiPhoneとは決めていない。割合としては低いものの、両プラットフォームを比べ、乗り換えを検討する層は確実にいるというわけだ。 【次ページ】どうなる?今後のスマホの競争環境
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