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  • 2022/05/27 掲載

三井住友銀行やアマゾンらが語る「金融プラットフォーマー」、その論点は何か?

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DX(デジタルトランスフォーメーション)の時代には、金融サービスも徹底した顧客視点が求められている。このような環境下で「金融プラットフォーマー」を事業として営むための条件とは何か。新生銀行 代表取締役社長 川島 克哉氏、三井住友フィナンシャルグループ 執行役専務 グループCDIO 谷崎 勝教氏、アマゾン ウェブ サービス ジャパン 金融事業開発本部 本部長 飯田哲夫氏、アフラック生命保険 取締役専務 執行役員 二見 通氏、NIKKEI Financial 編集長 佐藤 大和氏(モデレーター)が語った。
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アフラック、新生銀行、三井住友銀行、アマゾンが考える「金融プラットフォーマー」への道とは?
※本記事は、日本経済新聞と金融庁が2022年3月に主催した「FIN/SUM2022:Fintech Summit(フィンサム)」の講演内容を基に再構成したものです。

海外金融機関のDXは日本企業と何が違う?

 現在、アフラックや新生銀行、三井住友銀行、アマゾンはある種「金融プラットフォーマー」として事業を展開しているが、そもそも各社はどのようなプラットフォームを担っているのか。

 アフラック生命保険はがん保険大手で顧客・代理店向けの独自クラウドサービス「AdaaS」(アフラック・デジタル・アズ・ア・サービス)を展開している。新生銀行は地域金融機関との連携に注力し、2021年12月にSBIグループ入りしたことでシナジー効果に期待がかかる。

 三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)は、2019年ごろから「プラットフォームビジネス」を推進すると標榜している。アマゾンのクラウドビジネスの中核を担うアマゾン ウェブ サービス(AWS)は「AWSは金融機関が金融プラットフォーマーになるための支援」を担っている。

 日本経済新聞 佐藤 大和氏の「DXをめぐる日本企業の現状をどう見ているのか」という問いかけにアマゾン ウェブ サービス ジャパン 飯田 哲夫氏は以下のように答える。

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アマゾン ウェブ サービス ジャパン 金融事業開発本部 本部長 飯田哲夫氏

「海外との比較という観点では、海外だからDXが成功しているとは言い切れません。グローバル市場で強く感じるのは、デジタルの力を使ってトライ&エラーを繰り返していくスケールの大きさとスピード感です。その点は国内の現状と大きく違います」(飯田氏)

 デジタルでのトライ&エラーとはたとえば以下のデジタルバンクに関するような点を指す。 

「北米ではゴールドマン・サックスがリテールバンキングへ新たに参入し、英国でも同事業を短期間でスタートさせました。JPモルガン・チェースは数年前にデジタルバンクを立ち上げて撤退したが、また新しく英国で立ち上げました。欧州では、規制を変えることでチャレンジャー・バンクが次々と立ち上がっています。金融サービスを受けられなかった層が非常に多い南米では、ヌーバンク(Nubank)というデジタル銀行が立ち上がり、わずか5年で口座数を5000万件まで伸ばしました」(飯田氏)

 こうした動きが加速するなかで、飯田氏は「日本では未完成なクラウドネイティブの勘定系を提供するベンダーが出てくるエコシステムが、グローバルでできつつある」と、DXの世界的な潮流を報告した。

本格化する銀行グループのDXの現在地

 一方、国内での動きはどうなのか。たとえばSMFGでは、若手バンカーを抜擢しながら伝統的な金融ビジネスに留まらないデジタルビジネス子会社を次々に立ち上げている。SMFGの谷崎 勝教氏は自社グループの現状を次のように答えた。

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三井住友フィナンシャルグループ 執行役専務 グループCDIO 谷崎勝教氏

「ようやく形になってきた会社が2~3社出てきたところです。生体認証の子会社はユーザー数が延べ1000万人を超えました。我々と弁護士ドットコムとのジョイントベンチャーSMBCクラウドサインは1年半で黒字化を達成しました。既存の銀行ビジネスは、成長が前年度比でリニア(線形)な成長しか望めませんがプラットフォームビジネスは1年で数倍になるなど、スケールとスピードが違うと実感しています」(谷崎氏)

 さらに谷崎氏は「デジタル子会社にはカルチャーやマインドセットを変えるシンボルとしての役割も期待していたが、企業価値向上へ貢献する存在になりつつある」と述べた。

 また、2021年12月にSBIの買収提案を受け入れた新生銀行の川島 克哉氏は「SBIとの連携でビジネスのスケールが変わる」と、グループの注力ポイントを解説した。

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新生銀行 代表取締役社長 川島克哉氏

「新生銀行が所属するSBIグループでは、地域金融機関へのDXサービス提供が圧倒的に多い現状があります。『SBI DXデータベース』による地域事業会社のDX導入支援が一例です。これには、地域金融機関とのコラボレーションが欠かせません。また、バンキングアプリをホワイトラベルで提供して、地域金融機関の維持運営コストを下げることに貢献できました」(川島氏)

 その上で川島氏は、「SBIとの連携で、非銀行サービスをシームレスに提供できるようになる。たとえば信販子会社のアプラスは、非接触決済、バーチャルクレカ、レンディング、BNPL(後払い決済)、給与前払いなどを網羅する多機能アプリ『バンキット』を提供している。今後はこれを新生銀行グループのアプリとして、さらにSBIグループのアプリとして提供可能になる」と述べた。

【次ページ】アマゾンは“アマゾン銀行”を設立するのか
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