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投資信託(ファンド)には「インデックス(パッシブ)型」と「アクティブ型」の2種類のタイプがある。どちらにもそれぞれメリット・デメリットがあり、状況に応じて使い分けることが良いとされている。しかし、結局のところ、投資家が知りたいのは「どっちが優れているのか?」ということだろう。筆者は、アクティブ型に軍配が上がるケースと、インデックス型を選んだ方が良いケースは明確に存在すると考えている。今回は、アクティブ型とインデックス型の違いを整理しつつ、アクティブ型 vsインデックス型論争に終止符を打ちたい。
よく聞く「インデックス投資・最強説」は本当か?
投資信託には、「インデックス(パッシブ)」と「アクティブ」という、大きく分けて2種類の運用手法がある。
インデックス型の投資信託(ファンド)は、ベンチマーク(運用の良し悪しを測る基準)として掲げられた指数に連動した運用成果を目指すのに対し、アクティブ型の投資信託は、原則としてベンチマークを上回る運用成果を目指すといった違いがある。
ただし、資産運用の世界ではアクティブ型の明確な定義は存在せず、指数に完全に連動していない商品をアクティブ型と呼ぶことが多くなっている。ベンチマークの例としては、新聞やニュース番組などでもおなじみの日経平均株価(日経225)やNYダウ平均株価のほか、世界各国の株式・債券全体の動きを捉えたものもある。
この2種類の投資信託をレストランで例えるなら、インデックスファンドは、どの店舗でも同じ価格で均一の味を提供するチェーン店といったところだろう。マニュアルに沿った運営によって、コストを抑えながら一定水準の味やサービスを提供しているというイメージだ。
対してアクティブファンドは、シェフが腕を振るうこだわりのビストロといったところか。価格や期待される味など、それぞれに良さがあり、優劣をつけるのはナンセンスといえよう。
しかしながら、表面的なコスト水準に加え、「十分に分散化されたインデックス型の商品での運用が最も効率的である」という現代ポートフォリオ理論の考え方が独り歩きした結果、「インデックス型が最強の投資方法」という極端な論調が生まれ、優れたアクティブ型ファンドがインデックス型の陰に埋もれてしまうという事態になってしまった。
長年にわたって投資信託を分析している筆者からすると、これはあまりにももったいない。何もゼロか100かで考える必要はなく、インデックス型とアクティブ型の特徴を把握した上で、素直に各々の良いところを取り入れていけば良いはずだ。
コストの差で比較するのは間違い、と言えるワケ
ここで今一度、アクティブ型の本質について確認しておきたい。
まず、「アクティブ型」と聞くと、大きなリターンを取りにいくために積極的な運用をしている商品をイメージされる人が多いと思うが、実態は少し異なる。
前述した通り、資産運用の世界では、アクティブ運用の明確な定義は存在せず、一般的に、指数に完全に連動していない「非・インデックス型」の商品をアクティブファンドと呼ぶことが多い。“Active”という英単語には「積極的」、「活発」、「能動的」などの意味があるが、アクティブファンドの“Active”が意味するのは、運用の自由度の高さを表す「柔軟性」であって、必ずしも高いリスクを負って高いリターンを追求することだけではない。
近年は、徹底的にコストを削ぎ落したインデックスファンドが増え、アクティブファンドの相対的なコストの高さがやり玉に挙げられやすかったが、両者をコストの差だけで比較するのも見当違いと言えよう。
アクティブファンドで重要なのは、適切なリスクコントロールを行い、最終的にコストに見合ったリターンを出すことである。コストありきで「安かろう悪かろう」になってしまっては、まったく意味がないのだ。
真に優良な「アクティブ型」の特徴
それでは、真の優良なアクティブファンドとは何か。それは、急な市場環境の変化に大きく左右されることなく、中長期に渡って継続的に市場平均を上回るリターン(アルファ)を獲得できる商品だと考えられる。
投資信託の基準価額は、一度大きく下げてしまうと、再び同じ水準に戻すために多大なエネルギーを要する。たとえば、1万円で運用を開始した投資信託の基準価額が1カ月で10%下落し、9,000円になったとしよう。ここから再度10%上昇しても、9,000×1.1=9,900円で、1万円には届かない。つまり、下落率と上昇率は完全な対の関係にはないのだ。
だからこそ、基準価額が一時的に下落することはあっても、リスクを素早く察知してブレーキをかけ、市場平均以上に大きく負けないことが重要なのである。
実は、インデックス型とアクティブ型の運用成績には、資産タイプ別に一定の傾向が見られる。つまり、アクティブ型の方が総じて優れている資産タイプと、インデックス型の方が優れている資産タイプがあるのだ。
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