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  • 2021/04/01 掲載

週休3日制になるとどうなる?現在、週休3日制の人に聞いて見通す「残念過ぎる」未来

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コロナ禍の中、週休3日制が一部企業で採用されたほか、自民党内でも本格的に議論されはじめた。希望者は週休3日を選べる代わりに給料が減る「選択的週休3日制」が、出勤者の抑制や副業へのニーズの高まりによって検討されている。労働者にも企業にも不安の大きい週休3日の未来を考えるため、現在も週休3日が選べる環境のシニアや、副業を行う人の働き方を調査すると、単に休みが3日になるだけではない状況が見えてきた。
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週休3日制が「バラ色の未来」とはならない可能性もある
(Photo/Getty Images)


コロナ禍の中でなぜ、週休3日制は浮上したのか?

 「週休3日制」の議論が話題を呼んでいる。単に週の休みを3日にするという内容でないため、なおのこと賛否両論ある。

 2月から自民党内での議論が始まっているのは「選択的週休3日制」。希望する社員の休日を週3日とする代わりに、給料を削減するというものだ。

 給与の減少に対して補助も検討していると聞くが、働き手の立場でも自由な時間の拡大を望むか、給料の維持を望むかは意見の分かれるところとなっている。

 もちろん、企業側としても休む社員分の労働力が減るため、歓迎しづらい気持ちがある一方で、人件費削減やこれまでの枠組みでは働きづらかった人材確保を模索する動きもあるなど、やはり賛否が分かれる。

 なぜ今、週休3日制の話がクローズアップされているのかというと、コロナ禍の影響だという。一つは出勤を減らす対策であり、もう一つは、副業など新しい働き方のニーズの高まりだ。経済への打撃で増えた失業者の雇用を確保したいという思惑もあるようだ。

 いずれにせよ、選択的週休3日制の導入は、副業の促進や、柔軟な働き方推進に狙いがあると言える。逆に言えば、残業や連勤、休日出勤を当たり前と捉える層の場合、週休3日のメリットは少ない。しかし、実際は中高年のほうが週休3日に近い存在かもしれないのだ。

 現在でも実質的に週休3日制に近い働き方になっている人たちがいる。フリーランスや副業などで複数の仕事を掛け持ちしている人の中には、すでに週休3日制で副業をするのと変わらない働き方の人もいるだろう。そして、60代以上のシニアもそうだ。会社によってはシニアの出勤日数を減らすルールが存在している。

 こうした現時点で週休3日制に近い働き方の人たちを追うと、今後、週休3日制が導入された場合の未来が見えてくるのではないだろうか。

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出社しなくても仕事できるようになったことで働くことのそもそもの意味が問われるようになった
(Photo/Getty Images)


週休3日が選べるシニアはどのような働き方をしているのか?

 では、60代以上のシニアですでに週3日以上の休みがある人はどのような働き方をしているのだろうか。

 まず、60歳以上は強制的に週休3日になるという不動産関連会社の管理職の方に話を聞いてみた。週休3日のシニアで副業をしている方がいるのか聞いてみたところ、「うちは副業禁止なので」との回答が返ってきた。

 では、勤務日も給料も減らされ、困っているシニアもいるのではないですか? と尋ねると、「60歳で退職金も出るので、普通に暮らしている分には困りませんよ」という。

 大手のグループ会社らしい回答だが、これから60代になる今後のシニアの場合、預貯金の額や退職金の額も年々下がっているため、誰しもこのように安心できるわけではないだろう。そこで、60代以上のシニアがもっと現役で活躍している企業に話を聞いてみた。

 60歳以上の社員は週の勤務日数を自由に設定でき、少ない勤務日数でも正社員として定年がなく活躍し続けられる制度を持つ、リフォームなどの事業会社を束ねるNEXTAGE GROUPの、広報課主任 鶴岡美保さんに話を聞いたところ、最年長の方は78歳で現場にも出ており、週3日の勤務、週休4日だという。

 しかし、この78歳の方の場合、オフの過ごし方は「もともと収入があったほうなので、趣味とか色々なことやって楽しく生活されているみたいです」というように、副業などはしていないようだ。お金のために働くシニアや、副業を目指す人の参考にはなりにくい。

 それ以外のシニアの働き方はどうか? 他のシニアの方の勤務状況を鶴岡さんに尋ねると、興味深い事実がわかってきた。

「基本的には皆さん、ご自身で希望されて週5日出勤されています。テレフォンアポインターの仕事をしている75歳の女性社員も毎日出勤されていますね」

 もちろん、週5日出勤しているシニア社員は特段の健康問題のない人なのだろうし、また全員が経済面を働く動機にしているわけでもないのだろう。しかし、勤務日数が選べる環境にあっても、大半のシニア社員が5日間フルの勤務を希望している事実は、「働けるならば目一杯出勤して、しっかり稼ぎたい」という希望を映し出しているようにも見える。

 あるいは、中途半端に別の仕事にチャレンジするよりも、一つの職場に集中したほうが働き方として効率が良いということなのかもしれない。

 70代ともなれば当然、年金を受け取っている年齢であるし、70代の人が60代の時は、現在の60代よりも早く年金が支給され、平均の預貯金も高めの世代だったはずである。それでもなお、週5日勤務しているシニアがほとんであるならば、今後60代となる世代の場合は、さらに当然のようにフルタイムで働かなければならないのではないだろうか。

【次ページ】週休3日制は企業の負担を軽くする意図ではないのか?
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