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  • 2020/06/08 掲載

丸山 弘毅氏が語る、「2020年のフィンテックトピック」はコロナ禍でどう変わるか

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あらゆるビジネスを取り巻く環境が新型コロナウイルスの影響で変わってしまった。当初の「フィンテック展望」から、何がどのように変わったのか。2020年1月に注目のフィンテックキーワードを発表していたFintech協会 代表理事 会長 丸山 弘毅氏にフィンテックは「コロナ禍」にどのような影響を受けたのか、ポイントを聞いた。
執筆:フリーランスライター吉澤亨史、構成:編集部 山田竜司

執筆:フリーランスライター吉澤亨史、構成:編集部 山田竜司

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コロナ禍はフィンテックトピックにどのような影響を及ぼしたのか
(Photo/Getty Images)


マイナポイント事業は「意味合いが変わる」

 新型コロナウイルスの感染対策により世界的に経済活動が停滞する状況となった。日本もオリンピックをはじめほとんどのイベントが中止となった。緊急事態宣言が解かれた現在、フィンテックのトピックはどう変わったのか。

 Fintech協会 代表理事 会長 丸山 弘毅氏はキーワードごとに解説した。まずは、マイナポイント事業について。

 マイナポイント事業とは、マイナンバーを取得し、かつマイキーIDを設定した者を対象にマイナポイントを付与するというもの。消費税率の引上げに伴う需要の平準化策として、また東京オリンピック・パラリンピック後の消費を下支えすることを目的に実施する施策で、総務省ではマイナポイント事業に合わせてキャッシュレス決済基盤の構築を図るとしている。

 利用者はあらかじめ、マイナポイントを使う決済サービスとして、QRコード決済やICカードなどのサービスの中から、1つを選択しておく。そしてICカードへのチャージや、QR決済アプリで買い物をすると、ポイントが付与される仕組み。

 丸山氏は、国や自治体、キャッシュレスのインフラ整備に向けた予算配分になっていると指摘し、利用者はいろいろなフィンテックに触れていくきっかけになるとしていた。マイナポイント事業は9月からの実施を予定していたが、コロナウイルスの影響は避けられないと丸山氏は指摘する。

 そもそもマイナポイント事業はキャッシュレス決済を促進するための施策といえるが、コロナウイルスの感染対策で飲食店や商店街で使うことは難しくなった。

 しかし一方では、Uber Eatsや出前館などのデリバリーが急増し、キャッシュレス決済が結果的に増えている。マイナポイント事業も、経済復興に向けた消費活動の活性化への施策という意味合いで実施される可能性が高いとした。

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総務省によるマイナポイント事業の概要
(出典:総務省報道発表)

利便性を訴求できれば進展「JPQR」

 マイナポイントの利用促進を目的に、国が推進する施策の1つが「JPQR」である。これは、次々に登場した「~ペイ」で使用するQRコードをひとつに統一するというもの。これにより、インバウンドを含む利用者も、店舗側も便利になるとしている。

 特に地域でのマイナポイント消費を促進し、地域の活性化を図る。JPQRを利用したい店舗は、Webの受付システムによりQRコード決済事業者へ一括での申し込めるようにする。発表当初は5月末から稼働を開始する予定で、これに向けて全国各地で説明会を行うとしていた。

 1月の時点で、丸山氏は2019年末にQR事業者のアライアンスが解散したというニュースもあり、微妙な状況であるとしながらも、海外では統一QRコードを導入している地域も多いことから大きく変わる可能性もあるとしていた。

 コロナウイルスの影響に対して丸山氏は、JPQRそのものは店舗側はステッカーで告知でき、利用者側の利便性も高まるため進んでいくとしている。ただし、その進捗は変わってくるとした。

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総務省によるJPQRの概要
(出典:総務省報道発表)

利用促進「スーパーアプリ」

 スーパーアプリとは、決済機能や金融機能を軸に、生活サービスなどさまざまな機能のミニアプリを搭載したスマートフォンアプリのこと。1つひとつアプリを起動するのではなく、1つのアプリの機能としてさまざまなサービスにアクセスできる、プラットフォームに近いものといえる。海外ではインドネシアの「GO-JEK」、国内では「PayPay」がよく例に挙げられる。

 丸山氏は「QRコード決済事業者はスーパーアプリに進化していく」と話し、送金や後払いといった銀行の一部機能を提供することでスーパーアプリ化が加速するとした。その背後にあるのが、銀行の各機能をサービスとして提供する「BaaS(Banking as a Service)」の拡大であると丸山氏は指摘。これを利用することで、銀行のライセンスを取得することなく金融サービスをアプリ上で提供できる。

 コロナウイルスの影響は、スーパーアプリの利用促進につながると丸山氏は言う。外出の自粛によってデリバリーのニーズが急増しているが、スーパーアプリであればデリバリーの注文から決済までをひとつのアプリで完結できるようになる。

 また、中国ではスーパーアプリの情報を元にクラスターの場所を可視化する取り組みが行われた。日本では「そこまでしない」と思われるが、いずれにしてもコロナウイルスの影響でデジタル化が加速しているため、スーパーアプリのニーズも高まっていくとした。

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QRコード決済事業者は、スーパーアプリへ進化
(出典:Fintech協会)

【次ページ】チャレンジャーバンクやオープンイノベーション、MaaSへの影響は
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