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- 2019/09/27 掲載
金融庁や日銀、三井住友のフィンテックキーマンが語る「金融機関の新成長戦略」
「デジタル時代」の新しい成長の源泉
変化することを前提に前進せよ
「日本版金融ビッグバン」と呼ばれる大規模な金融改革から20年以上の月日が流れた。その間、ネット専業金融の登場やリーマンショックなどもあり、伝統的な金融機関のポジションも様変わりしている。また、近年はフィンテックが台頭し、これまでの概念を打ち破るような新しいサービスが日々生まれている。「決済」や「お金」のあり方自体も変わりつつある中、こうした潮流を規制当局はどう捉えているのか。また、銀行を始めとした金融機関は今後どう変容していくのか。9月3日に開催された金融庁 日本経済新聞 共催 FIN/SUM 2019のセッション「金融の新領域 新しい成長の源泉を求めて」では、これからの金融機関はどうあるべきなのかについて議論がなされた。
変化の波は、採用人材の面でも起きている。従来の日本企業では、真っさらな新卒社員をその会社の色に染めていくのが教育方針の柱でもあった。現在では、競合他社などからの中途採用や異なる知見を持つ人たちを、既存社員と融和させていく姿勢は徐々に広まっているようにも見える。
谷崎氏も「新しい人材を積極的に入れていくべきだ。今後の金融機関は大きく変わっていくし、変わることを前提に動いていったほうがいい」と前向きな姿勢を見せていた。
変革に備えて、規制当局も進化している?
金融庁の松尾氏は「変革が起きやすいように意識的に法整備を推進している。たとえば、銀行がフィンテック子会社を持てるようにしたり、地銀の規制緩和をしやすいようにしたりなどの法改正などだ。規制というと事業者はひるみがちになる。しかし、杓子定規ではなく、そのやり方は実は多様にある」と語る。
他にも、JV(ジョイント・ベンチャー)などの他業態と組むことで自社の担当領域を広げていく方法も提案。また、変革を実現するための課題としては「(変化を好まず)変革を望まない人が多数残存している」ことを挙げた。
次に、日銀の副島氏も変革にどう対応しているかについて語った。「日銀は、公的機関としての印象が強いかもしれないが、あくまで銀行の一つ。商業銀行相手のサービス提供や市況のモニタリングなどの業務も行っている。システム開発においても、ウォーターフォール型も残しながらアジャイル手法を取り入れるなど、新旧一体型で変革を進めている」(同氏)
日銀は2018年10月、24時間送金が可能になる「モアタイムシステム」というサービスを提供開始した。従来は全銀ネットが稼働している平日日中に制限されていた振込処理が、他行宛てでも24時間即時入金が可能となる。現在は、全銀協に加盟する500以上の金融機関が参画している。
実際に試したという副島氏は「数秒での送金が可能になる世界の到来に自分でも驚いた」との感想を述べた。また、日銀は現在、ECB(欧州中央銀行)と共同で分散型台帳の調査プロジェクト「プロジェクト・ステラ」を実施中だ。規制当局側も変革に備えて、スピードと実行力を高めていると言えるだろう。
【次ページ】貨幣の概念と共に変容する金融業界
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