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- 2025/03/13 掲載
後を絶たない「金融機関の不祥事」、“性悪説”で考える内部犯罪の再発防止策とは?
FINOLABコラム
目立つ金融機関の不祥事
最近、貸金庫に預けられた顧客の金品がベテラン行員によって搾取された事件が注目を浴びるなど、顧客資産の横領や窃盗、架空投資案件の紹介、不正融資による資金搾取、インサイダー情報を悪用した取引、顧客情報の不正利用など、金融機関で発生した内部犯罪が多く報道されている。トップマネジメントが並んで頭を下げる記者会見を目にする機会も度々あり、「信用」が経営の基盤となる金融機関にとって、深刻なレピュテーションリスクにつながる内部犯罪は頭痛の種と言わざるを得ない。
既存顧客に対する信用はもちろんのこと、ただでさえ人気が下がりつつある金融機関の就職ランキングがさらに下がるのではないかという点も懸念される。このため、各社はこれまでにも不祥事対策にかなりリソースを投入してきているが、果たして実効が上がっているのか疑問の声もあがっている。
ここでは、個別事案についてふれるのではなく、繰り返される内部犯罪に対する再発防止策を分析することによってみえてくることを整理し、これからの対策に必要となるポイントについて考えていきたい。
内部犯罪に対する金融機関の対応
金融庁の「主要行等向けの総合的な監督指針」では、銀行が不祥事件を発見した際、30日以内に「不祥事件等届出書」を提出することが義務付けられている。とはいえ、適切な内部統制が機能していない場合、これらの不正行為が見過ごされ、重大な問題に発展する可能性もある。記者会見までやるかどうかは、各金融機関に判断が委ねられるが、「金融機関の不祥事」として検索してみると、驚くほど多くの事案が確認でき、各社によって対外的な発表がされていることがわかる。
そうした発表は、内容の細かさには差があるものの、ほとんどが以下のような項目を網羅しており、業界内の「お作法」が確立しているようにも思われる。
- 被害者およびすべての関係者に「多大なる迷惑と心配をかけている」ことを陳謝
- 警察や司法当局の捜査に全面的に協力していくことを表明
- 犯罪事実と被害の内容
- 被害に対する求償などの対応
- 発生原因
- 責任について(場合によっては組織内の処分)
- 再発防止策
- 事案についての問合せ先
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