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- 2024/10/03 掲載
「隣の人」の給与がわかるほうがいいのか? 給与「透明化」のメリット・デメリット
前編はこちら(この記事は後編です)
消極的な日本、積極的なアジアの若者
前編で触れたように、給与に関するさまざまな問題を世界から指摘された日本は、先陣を切って法改正に臨んだものの、労働者側からの給与の透明化と男女の賃金平等を達成させる気勢はまだ見られていない。一方で、他のアジア諸国ではZ世代やミレニアル世代の若者たちが異を唱え動き出している。彼らが利用しているのはもちろん、ソーシャルメディアだ。
たとえば、シンガポールを拠点とする28歳のカリシマ・ジャシャニ氏はTikTokで自身のキャリアや給与について話し、バズったことで話題に。昨年、ジャシャニ氏が、「技術セールスの仕事をしていて、年収30万シンガポールドル(約3,350万円)だ」と公開した投稿は約50万回の視聴を集めた。
ストリートインタビューで「思わぬ需要に気が付いた」
同様に、マレーシアのフリーカメラマンで32歳のプレスティン・デイブカウ氏は、インスタグラムとTikTok上にMalaysianPAYGAP(マレーシアの賃金差異)名でアカウントを開設。フォロワー数は両方で30万人超、ストリートで声をかけた人たちに給与やキャリアについて質問するコンテンツが人気を博している。元々は、フリーランスである自分のサービスの価格相場を知りたくて始めたストリートインタビューが、1週間もしないうちにインスタグラムで大バズリしたことがきっかけで、思わぬ需要に気が付いたと氏は語っている。
インタビューを通じて、若い世代は自身の給与について非常にオープンにシェアするが、年配層はより慎重に回答するという、世代間の大きな違いや、多民族国家のマレーシアならではの民族による違いも判明したとのこと。
デイブカウ氏は、人々がインタビューに答える姿を目の当たりにし、「給与について話すことがタブーとされてきた文化」は変えられるとして、これを人事部が問題視するとしたら、自社の従業員を失うことになるだろうと語っている。 【次ページ】給与の透明化によってもたらされるメリット・デメリット
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