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- 2023/12/13 掲載
Web3は「もうオワコン」か? バイナンス巨額罰金後の「価値」とは
米当局と真っ向から対立してきたバイナンス
米当局とバイナンスによる対立の歴史は長い。暗号資産交換業者への風当たりが目立って強くなった原因は、2022年11月に発生したFTXトレーディングの破綻だ。
米スタンフォード大学で教鞭を取る両親のもとにうまれ、自身も米マサチューセッツ工科大学を卒業した暗号資産業界の“白馬の騎士”サム・バンクマン=フリードCEOは、詐欺罪など7つの容疑で起訴されすべて有罪に。2024年3月に量刑が言い渡される予定だが、最高で115年の懲役刑が課される可能性があるという。
年が明けた2023年以降、米国では暗号資産交換業者への締め付けラッシュが始まった。バイナンスに目を付けたのは、米司法省だけではない。
2023年3月、米商品先物取引委員会(CFTC)は、バイナンスが「違法な」交換所を運営し、コンプライアンス対策に実体がないとして、バイナンスとジャオ氏ら経営陣を提訴。しかしこれに対して、ジャオCEOはCFTCの主張は「FUD(不確実性、疑念、恐怖)」だと一蹴。
2023年6月には、米証券取引委員会(SEC)がバイナンスとジャオCEOを証券法違反など、13の容疑で提訴。
これに対しても、ジャオCEOとバイナンスは「SECが規制権限を超えて訴訟を提起した」と主張し、60ページの請願書を提出。「2017年7月以降の暗号資産の販売についてバイナンスとその関連会社を責任追及しようとしているが、当時暗号通貨に関する明確な規制指針が存在しなかったのに、事後的に遡及適用しようとしている」と声明を出した。
しかし、同11月には、金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)および米財務省のマネーロンダリング・制裁監視機関がバイナンスに対して、銀行秘密法と複数の制裁プログラムに違反したと告発した。
バイナンスは最終的に、米国司法省および他の連邦機関に対して約43億ドルの罰金と没収金を支払い、ジャオCEO個人もマネーロンダリング法に違反したことを認め、即日退任した。米当局との司法取引に応じたと見られている。
FTXの破綻にも一枚噛んだ形だったジャオCEOだが、それからわずか1年で自身もCEOを退任することになった。
取り付け騒ぎは免れた
ジャオ氏はCEO退任と5000万ドルの罰金以外にも、銀行秘密法違反を認めること、責任を認めることに反するような公的声明を出さないことなどを和解条件としてのんだとされる。同氏は米当局の発表後、Xで「この決断は感情的に難しかったが、正しいことだと考えている。自分は過ちを犯し、責任を取る必要がある。これはコミュニティ、バイナンス、そして彼自身にとって最善だ」と投稿。
後任には、アブダビ・グローバル・マーケットの金融サービス規制局のCEO、シンガポール証券取引所の最高規制責任者、シンガポール金融庁の企業財務部長を歴任チャード・テン(Richard Teng)氏が就任。ジャオ氏は株主として、同社に関与する。
Today, I stepped down as CEO of Binance. Admittedly, it was not easy to let go emotionally. But I know it is the right thing to do. I made mistakes, and I must take responsibility. This is best for our community, for Binance, and for myself.
— CZ =リ6ン BNB (@cz_binance) November 21, 2023
Binance is no longer a baby. It is…
また、バイナンスがユーザー資金を不正利用したり、市場操作に関与したりしたことはないと強調。「顧客の資金は安全」と述べた。
一連の動きを受けて、バイナンスからはその後24時間以内に約9億5000万ドル以上の資金が流出。しかしFTXのように流動資産が不足することはなく、無事に処理を終えた。DefiLlamaによると当時バイナンスは679億ドル相当のトークンやステーブルコインを所有しており、経営基盤は盤石だったとみられる。
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