- 会員限定
- 2023/03/23 掲載
暗号資産に親和性が高い金融機関が続々破綻、バイナンスは大丈夫なのか?
暗号資産に親和性が高い金融機関が続々破綻
3月に入ってから、暗号資産業界に親和性が高い米金融機関の破綻が相次いでいる。3月10日には、米シリコンバレー銀行とシルバーゲートキャピタルが、そして12日にはシグネチャーバンクが破綻。シリコンバレーバンクの破綻は、2008年に破綻したワシントン・ミューチュアルに次ぐ全米2番目の規模で、シグネチャーバンクは3番目の規模だ。
少なくとも、シルバーゲートとシリコンバレーバンクの破綻理由は、信用不安によって資産の引き出しが急増したことによる「取り付け騒ぎ」だという。
取り付け騒ぎと言えば、暗号資産業界で記憶に新しいのが、米FTXトレーディングだ。FTXの破綻理由も、この暗号資産版「取り付け騒ぎ」だったわけだが、さてその恩恵も受けて首位を独走するバイナンスにいま、さまざまな疑惑の目が向けられている。
BTC実質取引高の92%がバイナンス経由に
FTXの破綻について少々おさらいしておこう。2022年11月11日、暗号資産取引所で取引額世界第二位だった米FTXトレーディングが、グループ企業およそ130社を含めて米連邦破産法11条(チャプター11)の適用を申請した。負債総額は7兆円超。過去最大規模の経営破綻で、暗号資産マーケットは世界的に大混乱に陥った。
この騒動で盤石の地位を固めたのが、取引額首位を独走するBinance(バイナンス)だ。
業界首位の座を激しく競い合っていたバイナンスとFTX。業界2位だったFTXが破綻したのち、バイナンスの暗号資産取引量はさらに増加。2021年12月28日時点で、世界の現物ビットコイン(BTC)の実質取引高の92%は、バイナンスで取引されていたほどだ(暗号資産データ分析会社Arcane Research調べ) 。
FTX破綻後の2022年11月30日には、金融庁登録の交換業者サクラエクスチェンジビットコインを買収。日本でも合法的にサービスを展開していくとみられるなど、着々と勢力を拡大している。
FTXを葬ったバイナンスCEO
バイナンスは2017年、中国系カナダ人の趙長鵬(チャンポン・ジャオ、以下CZ)によって設立された。中国政府が暗号資産を禁止した後は、本社の登記を国外に移転。2021年末までに、中国本土に居住しているユーザーに対してサービスの提供を制限している。以後の本社所在地はマルタなどの租税回避地とされているものの、2023年現在の登記地は明らかになっていない。CZ氏は現在45歳。中国・江蘇省に生まれ、1980年代にカナダのバンクーバーに移住。カナダの名門、マギル大学で計算機科学を専攻し、東京証券取引所関連のインターンシップなどを経て上海で金融システム開発に取り組むようになった。
バイナンスは設立からわずか8カ月で、世界最大の暗号資産取引所に成長。2021年時点で、同氏の純資産は19億ドル(約2,970億円)を超えるとされ、押しも押されもせぬ暗号資産長者の1人でもある。
実はFTX破綻の引き金を引いたのは、このCZ氏に他ならない。 【次ページ】疑念の数々をめぐって米マスコミと大立ち回り
関連コンテンツ
関連コンテンツ
PR
PR
PR
今すぐビジネス+IT会員にご登録ください。
すべて無料!今日から使える、仕事に役立つ情報満載!
-
ここでしか見られない
2万本超のオリジナル記事・動画・資料が見放題!
-
完全無料
登録料・月額料なし、完全無料で使い放題!
-
トレンドを聞いて学ぶ
年間1000本超の厳選セミナーに参加し放題!
-
興味関心のみ厳選
トピック(タグ)をフォローして自動収集!