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なぜ?製薬会社に「DX」が求められているワケ
同社では2019年から、2030年に到達すべき姿として「ヘルスケア産業のトップイノベーター」を掲げ、そのための成長戦略を展開している。中でもDXを重要なキードライバーの1つとして位置づけ、積極的に取り組みを進めているという。同社のデジタルトランスフォーメーションユニット デジタル戦略推進部長を務める金谷和充氏は、製薬業界でDXが求められている背景を、次のように語る。
「背景となる事象は、大きく2つあります。1つは、新薬創出コストの高騰です。創薬の生産性が低下しているこの状況を、デジタルの力を使って打開する必要があります。もう1つは、ヘルスケア産業構造の破壊的変化です。ここでは、産業の枠を超えて参入するデジタルテックのプレーヤーと、いかに協働または競合していくかが大きなテーマとなっています」(金谷氏)
1つの新製品を発売するまでにかかる研究開発費(失敗コストを含む)は、1970年代には1.8億ドル程度だったが、1990年代には10億ドル、2000年代には25億ドル超にまで膨らんでいる。
また、臨床試験成功確率は11.8%、臨床試験と審査の期間は約96.8カ月(約8年)とされており、製品が発売されるまでには10年、15年という年月がかかる。「3万分の1といわれる研究開発の成功率を、10倍の3000分の1にするだけでも、かなりのインパクトがあります」と金谷氏は語る。
こうした厳しい事業環境下で同社はどのようにDXを推進してきたのだろうか。取り組み事例を基に中外製薬が目指す「2030年の姿」について解説する。
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・DX推進でまず行ったのは「DXの“全社ごと”化」
・中外製薬が実践、DX推進の「3つ」の基本戦略
・生成AI・クラウドを積極的に活用した基盤の強化
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