- 2025/02/06 掲載
自社の商品が激安で売られてた……「販路拡大」でメーカーが陥る「大問題と解決策」
【連載】現役サプライチェイナーが読み解く経済ニュース
日本製トランシーバーで「爆弾テロ」?
2024年9月、レバノンで起きた爆発事件で、「日本製のトランシーバーが使われた可能性が指摘された」というニュースがありました。これは実際には日本製の正規品とは確認されておらず、模倣品である可能性も高いと言われているものです。しかし、SNSによる情報拡散が一般的なった今、情報の一部や写真だけで誤った解釈をしてしまう人も増えている印象で、こうしたニュースはメーカーのブランド価値毀損につながるリスクがあります。倫理的、人道的に良くないことに使われるモノのメーカーの製品は買わない方が良い、という気持ちが、商品の魅力を落としてしまうのです。
もちろんメーカーはこれを理解していますし、輸出先の国の特性や状況を踏まえた、貨物や技術の輸出可否を経済産業大臣が判断するという安全保障貿易管理に従っています。
それではなぜ、メーカーの意図とは異なる使われ方がされてしまうのでしょうか?
原因は「サプライチェーンの複雑化」
これにはサプライチェーンの複雑性が関係しています。サプライチェーンとは日本語で供給網とも訳されますが、原材料や部品の調達から生産、世界各地への物流、消費者・ユーザーへの販売に関わるさまざまな企業間取引の連鎖を指します。ここで、調達や販売が多段階になっている業界も少なくありません。自動車業界の“Tier”と呼ばれる多段階の部品メーカーの構造は有名でしょう。
![画像](https://www.sbbit.jp/article/image/156265/l_bit202501201205442477.jpg)
原材料のさらにその原材料のサプライヤー、一次卸、二次卸、三次卸など、特にサプライチェーンがグローバルに拡大するほど、その連鎖は複雑になります。複雑になるということは、透明性が低くなり、状況がつかみにくくなるということです。
サプライチェーンが複雑化することで、商品がメーカーの知らないところで、ブランド価値を毀損するような価格で売られてしまう、といったことも起き得るのです。実際、筆者もそれを目の当たりにしました。
![photo](https://www.sbbit.jp/article/image/156265/660_bit202501201206242969.jpg)
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