• 2024/11/08 掲載

フリーランス新法で「建設業者」は「何を」すべき?「義務付け7項目」など徹底解説(2/2)

連載:現場の声から読み解く建築業界のリアル

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結局「何を」すれば良い? 3パターン・義務付け7項目を解説

 フリーランス新法の主な内容は、下記の図2のとおりです。発注事業者がどのような事業者なのかによって、義務付けられる内容が異なりますので、建設業者が特に関係のあるポイントを抜粋して解説します。

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図2:フリーランス新法の主な内容

■フリーランスの発注事業者
 たとえば、発注事業者が従業員を使用していない場合、いわゆるフリーランス(1人親方など)からフリーランス(1人親方など)へ業務を委託する場合については、図2の(1)「書面等による取引条件の明示」が義務付けとなります。具体的には、「業務の内容」「報酬の額」「支払期日」「発注事業者・フリーランスの名称」「業務委託をした日」「給付を受領/役務提供を受ける日」「給付を受領/役務提供を受ける場所」「(検査を行う場合)検査完了日」「(現金以外の方法で支払う場合)報酬の支払方法に関する必要事項」を明示しなければなりません。

 こちらは、書面等となっておりますが、書面の様式は定められていないので、取引内容に応じて適切な書面を作成すれば問題ありません。また、電磁的方法でも構わないので、たとえばLINEのような方法でも明示さえすれば大丈夫です(図3)。

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図3:取引条件の明示はメールやLINEなどの電磁的方法でも問題はない

■従業員を使用している発注事業者
 従業員を使用している発注事業者は、図2の(1)に加えて、(2)「報酬支払期日の設定・期日内の支払」、(4)「募集情報の的確表示」、(6)「ハラスメント対策に係る体制整備」が義務付けとなります。

 (2)では、建設工事が完了した日などから数えて60日以内のできる限り早い日に報酬支払期日を設定し、期日内に報酬を支払わなければなりません。また(4)では、広告などにフリーランスの募集に関する情報を掲載する際に、虚偽の表示や誤解を与える表示をしてはならず、内容を正確かつ最新のものに保たなければならないよう注意する必要があります。(6)では、ハラスメント禁止の方針の明確化や相談・苦情への対応、またハラスメントへの事後対応などを可能にする体制が求められます。

■一定期間以上の業務を委託する場合
 さらに従業員を使用している事業者が一定期間以上で行う業務を委託する場合については、従業員まではいかなくても、継続的に取引していることから、よりフリーランスの保護を強化することが求められます。そのため、先の図2において(1)~(7)のすべてが義務付けられます。

 具体的に(3)「禁止行為」では、受領拒否、報酬の減額、返品、買いたたき、購入・利用強制、不当な経済上の利益の提供要請、不当な給付内容の変更・やり直しが禁止となります。そのほか、(5)「育児介護等と業務の両立に対する配慮」や(7)「中途解除等の事前予告・理由開示」も必要になります。

 特に建設業においては、建設工事が長くなることもあり、一定期間(具体的には(3)は1カ月、(5)(7)は6カ月)以上の業務委託は決して少なくありません。そのことからも、上記のような規制があることに気を付けなければなりません。

違反したらどうなる?

 これらの義務項目を守らない事業者に対して、公正取引委員会などは、立ち入り検査、指導・助言、是正勧告、命令、事業者名の公表等を実施します。

 たとえば、「1カ月以上の期間で業務を委託している工事について、委託内容に含まれていない工事が事後的に発生してしまったが、継続的な受注を期待する1人親方に無償で作業を要請した」場合、図2の(3)のうち、不当な経済上の利益の提供要請に該当し、勧告の対象になります。そして、勧告された内容の措置をとらなかった場合は、勧告に係る措置をとるように命令を受ける可能性があり、その命令にも違反した場合は50万円以下の罰金、20万円以下の過料に処せられることになります。

 中でも特に留意すべきは事業者名の公表です。公正取引委員会などでは、違反行為の勧告や命令を出す際に、事業者名や違反内容などを公表するとしています。ひとたび公表されてしまえば、企業イメージを大幅にダウンさせ、さらには工事をする際に協力業者が集まらなくなったりする恐れもあります。経営活動に大きな影響を受ける可能性がありますので、注意しなければなりません。

 いかがだったでしょうか。今回は、フリーランス新法について、建設業界がどのような影響を受けるのかについて、お話しました。まったく関係がないという企業は意外と少ないのではないでしょうか。すでに、11月から施行されていますので、知らなかった企業は、早急に対応することが求められます。

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