• 2024/10/15 掲載

地方製造業のアイシン九州と武蔵精密が「低コスト」で革新的DXに成功できたワケ(2/3)

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生産性の低さを可視化する秘策

 生産部門では、生産の稼働状況を可視化することで改善の畑を見つけ、改善を繰り返すことで生産性を向上する改善ツールを開発、導入した。

 上述のとおり、安価な電子工作キットを活用している。従来の「可動(べきどう)率」は、計画に対しての達成率で評価していた。そのため、可動率86%という表示だけでは目標の90%に近いため、危機意識を持つことが難しいのが課題だった。

 新たな可動率は達成率に加え、ロスの時間も表示した。さらに複数人で作業する場合、人数分のロス時間が累計で表示される。監督者のアクションを早くするために、目標の90%を割ると、率を赤字で異常表示することにした。

 こうした取り組みにより、継続的にバラツキを低減することができ、「改善サイクルを回すことで年間950時間の低減効果を得た」と熊谷氏は話す。また、このツールを活用し、「段取り時間の長い工程については段取り時間も可視化することができるようになった」という。

 「品質保証、品質チェックの電子化」の事例では、これまでは、測定した数値を手書きで記載し、測定が終わったかどうかを監督者が巡回、確認していた。これを安価で早く、必要な機能だけでツールを開発し、電子化を行った。

 測定開始の際には、どこの部位を測定しなければならないのか、測定箇所が図解で表示され、測定開始から終了までの測定時間や測定数が記録、進度状況も可視化される。

 測定後はノギスの測定値が送信され、測定結果を管理図へプロット、推移グラフを監視することで「残りの測定数も可視化される」と熊谷氏は説明した。規格を超えていた場合は赤色点灯し、NG箇所数のカウントアップとともに異常信号が発信され、監督者を呼ぶ仕組みで、測定が終わると終了時間が表示される。

 熊谷氏は「この品質チェックの電子化により、改善のアクションを早く打てるようになった」と効果を述べる。

 「社内のデジタル人材の育成」の事例では、自ら課題解決できる人材育成として、「政府が提唱するデジタル推進人材の必要人数の計算をベースに、デジタル人材の必要人数を試算した」と熊谷氏は話す。

 そして、スキル取得の方法は、社内公募で53名の受講者を「Excelマクロ基礎知識習得チーム」「今あるツールを徹底的に活用するチーム」「課題テーマ解決チーム」の3つのチームに分け、2023年度は知識レベル向上に一定の効果を挙げた。

 今年度は、職場の課題に関する検討会を事前に開催。協議の結果、必要なスキルを明確にし、どのコースで、どんな教育を受けるべきかを明らかにしカリキュラムを設定。スキル評価は3カ月に1回行い、メンバーとその上司を交えて評価レポートで育成状況の把握に努めたという。

 最後に、熊谷氏は、「私たちのDX活動は、人中心の働き方改革を実現することにある」とし、「従業員の働きがいが生まれ、新たな仕事にチャレンジいけるように、これからも足元の課題を1つひとつ解決していきたい」と締めくくった。 【次ページ】工場自家発電力を地域供給する「豊橋マイクログリッド」とは
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