- 2024/10/04 掲載
なぜ「令和の米騒動」は起こった? “元凶”農政に欠けすぎている「ある視点」とは(3/3)
「チャーハン戦争」で需要の増す冷凍大手の動向
冷凍食品もまた、成長著しい商材である。生産量は下のグラフの通り、増加傾向にある。2023年がやや減ったのは、コロナ禍による巣ごもり需要で消費が増えた分の反動と見られる。かつて「手抜き」と捉えられがちだった冷凍食品は、いまや料理の手間を省ける「手間抜き」の便利な食品として、日常的に食べられている。若年層ほど利用の頻度が高く、今後も成長が見込める。
米飯は凍結後の調理を経ても、品質が損なわれず、冷凍に適した素材と言える。生産量が多いのは、チャーハン、ピラフ類、おにぎり。これらは、冷凍食品の中で国内の生産量上位20品目にランクインしている。
ほかにも、赤飯やまぜご飯、ちらしずし、ドリア、ガパオライスなど、さまざまな種類の商品が生まれている。業務用だと、単なる白ごはんや、介護施設でも使えるおかゆもある。
一般社団法人 日本冷凍食品協会 専務理事 出倉 功一氏は、こう話す。
「単身世帯が増えるだけでなく、お子さんのいる世帯であっても1人で食べる(個食)機会が増えています。冷凍食品でも、ワンプレートにごはんとおかずをまとめた、一食完結型のお弁当に近い商品もあります」(出倉氏)
冷凍米飯の市場を拡大させるきっかけとなったのが、2015年ごろに話題となった「冷凍チャーハン戦争」、「チャーハン祭り」と呼ばれる、メーカー各社による開発競争だった。
「冷凍米飯の中でもチャーハン系は大きく伸びている」と出倉さん。米飯を使う冷凍食品の製造量は、おにぎり2万7000トン、ピラフ類4万8000トンに対し、チャーハン8万8000トン(いずれも2023年)と圧倒的に多い。
冷凍米飯の原料は基本的に国産米だ。概して、重量当たりの単価が安いものが好まれる。各メーカーは、商品に求められる品質特性と価格を見極めながら、原料米を調達する。
「冷凍食品大手メーカーはコメの使用量が多く、今夏は基本的に必要量を確保できていた。大手メーカーに関しては、今夏のコメ不足が、生産と販売に大きく影響するほどではなかったようです。とはいえ、今後の原料供給や価格がどうなるのか。メーカーは関心を寄せています」(出倉氏)
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