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  • なぜ中国で「銀行口座不要」の起業が増えているのか? 日本企業が捉えるべき変化とは

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  • 2022/03/30 掲載

なぜ中国で「銀行口座不要」の起業が増えているのか? 日本企業が捉えるべき変化とは

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中国の輸出企業は、「1年で10~20%」というダイナミックな価格変動と、金融当局によるリスク管理の要請から、「変化型」「小型化」の傾向が強まっている。こうした傾向を受け、テクノロジーによって越境取引における金融面の課題を解決することに期待が高まっている。中国の海外貿易の現状や、日本を含むアジア地域におけるフィンテックの今後の展望について、越境金融およびリスク管理サービスを提供するXTransfer 創業者兼CEOのビル・テン氏と、36Kr Global 調査・コンサルティング部門責任者のアレックス ジャオ氏(モデレーター)が語った。
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XTransfer 創業者兼CEOのビル テン氏(右)と
36Kr Global 調査・コンサルティング部門責任者のアレックス ジャオ氏(モデレーター)(左)
(出典:World FinTech Festival Japan 2021)
※本記事は、SOが2021年11月に主催したWorld FinTech Festival(WFF)の講演内容を基に再構成したものです。

法人向けの金融サービスの自動化、モバイル化はまだ進歩の余地がある

 冒頭、36Kr のアレックス・ジャオ氏から「中国金融業界のこの5年間の発展状況」について問われた XTransferのビル・テン氏は、「テクノロジーは金融業界において支払いのみならず、すべての金融サービスに対して非常に重要な役割を担っている」と述べた。テン氏は、2017年から「Alipay(アリペイ)」の親会社アントグループで会社を設立。XTransferは、越境金融業界でのユニコーン企業に成長した。

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XTransfer 創業者兼CEOのビル テン氏

 テン氏は、XTransferの2つの価値として「世界規模のスピーディに処理可能な、中小企業にも利用できる財務管理プラットフォームを設立したこと」「中小企業が越境金融を行う際のアンチマネーロンダリング(AML)のリスクを管理できること」を挙げた。これらにより、中小の輸出企業は安定的で持続可能なビジネスを展開できる。

 テン氏は、「この5年間で個人関連のあらゆるサービスは自動化、数字化、知能化されている」と話す。中国国内の個人向けサービスは「衣食住にまつわるあらゆるサービスがスマホを通じて提供されるのが当たり前であり、金融領域においてもその流れが広がっている」状況だ。さらに「国民のほとんどが銀行のアプリを持っており、それらは非常に便利で、商品、使用方法、サインアップのやり方の紹介などすべて電子化されている」とテン氏は話す。

 こうした個人関連のテクノロジーの発展にともない、企業関連の金融サービスも電子化が進んでいる。「この5年で多くの銀行で電子化が進み、オンラインバンキングをモバイルへと移行させている状況」(テン氏)という。

 一方で、法人向けの金融サービスの自動化、モバイル化は「個人向けの金融サービスと比較するとまだ十分に進歩の余地がある」(テン氏)という状況だが、人材の育成が進んでおり、より多くの人材がフィンテック領域で新たな業界やサービスを研究開発し、中国のフィンテックの海外進出につながっていくだろうとした。

輸出先として有望な東南アジアのマーケットに注目

 こうした状況に対し、XTransferの現在の主要なサービスは、中国の中小規模の輸出企業、購買輸出企業を対象としている。テン氏は「5~10年以内には中国輸出企業へのサービスだけでなく、香港やシンガポール、ロンドン、アメリカ、欧州など海外の買い手とのマッチングサービスとともに金融サービスも構想している」と話した。

 ジャオ氏から「初めて中国メーカーの海外進出の支援を考えた時、なぜ中小企業をターゲットにしたか」と経緯を問われたテン氏は、「当時、中国の輸出先の20%は東南アジア、20%はアメリカ、15%は欧州やイギリス、そして10%が日本、韓国だということに気づき、それらの地域で継続的にビジネスをしている銀行がある場所を優先した」と答えた。

 そして、グローバル化する際に、主要な輸出企業が進出している国として注目したのが東南アジアという。中国の輸出企業が扱う一般貿易製品と一般スキンケア製品の主要な輸出先として有望なのが東南アジアであるためで、続いて「インドが将来的には買い手側となる可能性があり、引き続きヨーロッパ、アメリカ、日本、韓国などのマーケットも拡大したい」と語った。

【次ページ】「変化型」「小型化」が進む中国の中小企業が直面するAMLの課題
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