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- 2022/03/25 掲載
日本がデジタル通貨「規制先進国」である理由、次のイノベーションを起こすには?

日本は世界に先がけて「仮想通貨」の規制に取り組んだ

パートナー
河合 健 氏
それまで暗号資産は「最も強い規制の対象」であったものの、この改正により「コインベースをはじめ、海外の多くの事業者が日本のマーケットに参入することを望む状況になっている」ということだ。この改正にからみ、デジタルデータに資産的価値を付与するNFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)が日本でブームとなり、アニメやゲーム、デジタルアートなどの分野でも新たな経済圏が生まれる可能性がある。
河合氏は「アニメや漫画は日本人にとってなじみが深いため、NFTはスタートアップだけでなく、コンテンツホルダーも大きな興味を示している」と話した。一方、伝統的な金融機関においても、日本銀行が個人や企業を含む幅広い主体の利用を想定した「一般利用型CBDC」のPoC(概念実証)を始めており、今後の動向に注目したいと河合氏は述べた。

中川 陽 氏
投資家を保護するために日本の暗号資産をどう規制すべきかが盛んにディスカッションされ、マーケットの回復の時期と合わせるように「2019年1月に暗号資産事業者のライセンスを取得し、私たちの事業は位置づけを新たにし、コンプライアンスの整った信頼できる企業に生まれ変わるべく取り組んでいるところだ」と話す。
その上で、「新しい金融サービスなどのイノベーションについては、規制当局とも協力して、コンプライアンスを強化し、投資家の需要に合致しているかを見極められるように」方針が明確になってきたという。
中川氏は「規制を遵守することには負担を伴うが、適切に守ることができればビジネスを前進させられる。規制当局とも、投資家にさらに面白い商品を提供することに関して生産的な会話ができるようになる」とし、規制が必ずしもイノベーションを妨げることにはならないとの見解を示した。
イノベーションを阻害しないカギは「業界との健全なコミュニケーション」

General Manager
北澤 直 氏
そして、グローバルで暗号資産への関心が高まると「暗号資産はどういうものか」「何がイノベーティブなのか」という疑問が集まる。そこで重要になるのが「プラットフォーム」だ。「ルールなしでは投資ができない。ルール設定の需要がある」と北澤氏は話す。その次にファイナンスの知識や、暗号資産に対する基本的な法的枠組みが必要になってくるということだ。
この点で日本は「第一人者だ」と北澤氏は話す。グローバルにオペレーションしたい企業は規制当局との間で、コンプライアンスを遵守してどう市場に参入したらよいか、オープンな議論ができているためだ。

Deputy Director
ガブリエル・ヤン(Gabriel Yang)氏(モデレーター)
河合氏は「デジタル通貨の領域では常に新しい動きが起きている」と述べた。どのように規制すべきかの議論も盛んだ。河合氏にとっても「保守的な日本で暗号資産に対する規制を世界で初めて導入したことは驚きだった」そうだが、確かに、適切なタイミングで規制が敷かれないと「新しい業界や、ビジネスの芽を摘むことになりかねない」ことは事実だ。
この点については「規制当局と事業者とのコミュニケーションに尽きるだろう」と河合氏は話す。業界はマーケットの状況について情報を提供する必要があるし、当局も、それを収集しなければならない。日本の金融庁はDeFiやNFTについても、「現在の状況やどんなビジネスの可能性があるかについて情報を得ようと積極的に働きかけている」という。新しいビジネスをどう規制するかについては「健全なコミュニケーションが、適切なタイミングを見極めるのに重要だ」と河合氏は述べた。
【次ページ】「コールドウォレット」が暗号資産流出の被害を防いだ事例も
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