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- 2022/03/15 掲載
「顧客起点」のITインフラとは? 金融DXに必須のシステム基盤を解説

既存システム脱却を阻む「現状維持」という人間の行動バイアス
金融サービスのさまざまな局面でデジタル化が進む中、その障壁となっているのが「巨大化・老朽化・複雑化・ブラックボックス化」したレガシーな基幹 システムだ。既存のシステム基盤の課題、問題点について、Finatextホールディングス 林 良太氏は以下のように説明する。
レガシーシステムから新たなシステムへと移行していくのは簡単なことではない。システムを取り巻く周辺の環境や組織の在り方とも深く関わってくるからだ。レガシーシステムを使わずに、新たなシステムでデジタルサービスを展開しているみんなの銀行 宮本 昌明氏はこう語る。

ファクトリー取締役CIO宮本昌明氏
つまり新たなシステムを運用できる体制を整えるために、組織改革が必要ということだ。林氏も「課題は人間」と強調する。
「課題解消のポイントはシステムではなくて人材だと考えています。人間はどうしても現場維持したい方向にバイアスがかかります。自分が経営者でいる時にはことなきを得て、次代へと問題を先送りするケースが目につきます。経営陣がリスク取り、現場の熱量が上がる新たな挑戦が必要です」(林氏)
顧客起点でのシステム・オブ・エンゲージメント
システムを変えるためには、システム担当者とベンダーとの関わり方から変えていく必要がある。日本マイクロソフトエンタープライズ 藤井 達人氏は既存システムを変更する難しさについて「稼働率の信頼性が関わってくるので、一朝一夕にできる問題ではない」と述べる。藤井氏がシステムを変革するための要素として挙げるのが、「外部との関わり」である。
事業本部業務執行役員の藤井達人氏
SoEとは顧客との結びつきを意識して、顧客との絆を深めることを目的としてシステムを構築することである。何のためのシステムなのかという認識をすることが、システム基盤の在り方を考えていく上で、最も重要であると藤井氏は語る。金融機関に特化したプラットフォームを提供しているバックベースジャパンのジェイソン・リー氏もエンゲージメントの重要性を強調する。

代表取締役社長ジェイソン リー氏
システム基盤の在り方を考える上での重要なポイントは「外部とのつながりやすさ」と「カスタマーエンゲージメントへの意識」とモデレーターを務める日経BP日経FinTech編集長の岡部一詩氏が改めて指摘した。これらのポイントを的確に達成する上ではクラウドの活用が重要になってくる。宮本氏はクラウドの重要性についてこう説明する。

「従来の銀行システムもデータセンターから専用線でつなぐというレガシーなやり方ではあるものの、外部とはつながっていました。しかしそれでは時間もコストもかかります。スピーディーにDXを実現するならAPI連携が最適という時代です。みんなの銀行でもオープンAPI基盤をGoogle Cloud Platform(GCP)上で作り、さまざまなクラウドのマネージドサービスを組み合わせて運用しています」(宮本氏)
【次ページ】クラウドの活用によって広がるシステムの選択肢
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