• 2022/01/15 掲載

所得税?消費税?池上彰さんが教える「一生で一番多く収める税金」とは?(2/2)

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車は所有しているだけで税金がかかる

 車は買うときに税金がかかるだけでなく、買った後も持っているだけで税金がかかります。

 10年ごとに買い替えて生涯5台の車に乗ったとしたら、税金はいくらになるでしょうか。一定の条件で計算した結果、約313万円かかることがわかりました(図4参照)。

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図4:車の税金

 図に示した通り、一口に車の税金といってもこんなに種類があるのです。このうち環境性能割は、自動車取得税が廃止されて新たに設けられたものです。車を買うときにかかる税金で、燃費のいい車ほど税率は低くなります。

 車の税金が何種類もあるのは、もちろん理由があってのこと。自動車税以外の3つ(自動車重量税、自動車取得税、ガソリン税・石油ガス税)は、あるものを作るために導入されました。

 あるものとは、道路です。

 日本は戦後間もない頃は道路整備が不十分で、国道でさえまだ舗(ほ) 装(そう) されていないところがありました。そこで高度経済成長時代に、道路整備を行うと同時に新しい道路を作るため、車の所有者から税金を取ることにしたのです。

 「受益者負担」という言葉があるように、道路を利用する人に税金を納めてもらい、そのお金で道路を作ろうということで、こういう仕組みができました。

 おかげで、今では日本全土に道路網が張り巡らされ、道路の整備も進んでいます。それはいいのですが、今度は必要のない道路まで作られてしまい、税金の無駄遣いだという批判が噴出。これを受けて、現在は一般財源として、つまり道路以外のいろいろなことのためにも使われるようになっています。

 本来、道路のための税金ですから、目的を達成したら廃止するのが筋ですが、そうはなりませんでした。車を持っている人たちが今も税金を払い続けているのはこのためです。

昔の古い車だとより多くの税金が!?

 車の税金は新しいか古いかによって金額が変わります。古い車の方が税金が高くなるのです。

 これはより環境性能の良い車への買い換えを促すためです。日本は排気ガスをあまり出さない地球に優しい車を増やすという方針の下、新車の登録から13年経過したら税率が上がる仕組みを導入しています。

 しかし、長い間大切に使ってきたのに税金を上げるなんておかしいという議論もあります。実際、海外には長く乗り続けると税金が優遇される国が存在します。たとえばドイツです。ドイツにはこんな言葉があるんだとか。

「良い古い車は、良いウイスキーのようなもの」

 ドイツでは、最初の登録から30年以上たった車は「ヒストリックナンバー」を交付され、自動車税、さらには保険も減額されるそうです。

一生で一番多く納めるのは何税?

 次は、所得税、住民税、消費税についてです。社会に出て働くようになると、特に所得税、住民税の負担が重く感じられます。この3つ、それぞれ一生で払う税金はどれくらいでしょうか。

 東京・世田谷区に住み、23歳、年収300万円の入須太郎さんが、出世して65歳で定年退職し、90歳まで生きたと仮定して、一生で払う所得税、住民税、消費税の額をざっくり計算してみました。(図5・図6参照)

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図5:一生で払う税金はいくらになるのか?(23~90歳)

 3つのうち一番多く払うのはどれだと思いますか。

 少ない方から見ていきましょう。第3位は所得税です。生涯で約1,267万円払うことになります。

 第2位が住民税で約1,627万円です。所得税より住民税の方が多いというのは、意外な感じがしますね。

 所得は収入から必要経費を引いたもので、所得が多くなるほど税率は上がります。逆に所得税が非課税という人もいます。この場合、所得税がゼロでもかかる住民税があることは知っていますか。

 これを「均等割」といいます。所得が多くても少なくても、その自治体に住んでいる以上はいろいろな行政サービスを受けているのだから、全員一律にこれだけの金額は納めてくださいというのが均等割です。(但し、所得が一定の基準以下の人は住民税も非課税になります)

 第1位は消費税です。

 その額は約2,174万円。所得がない人でも買い物をすれば必ず払うわけですから、一生で考えると積み重ねで一番多く払っているのです。

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図6:一生で払う税金(23~90歳)

※本記事はテレビ朝日「池上彰のニュースそうだったのか!!」で放送した内容をもとにした『20歳の自分に教えたいお金のきほん』を再構成したものです。本記事に興味を持たれた方はぜひ本屋などで手に取ってみてください。

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