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- 2021/10/25 掲載
日本の豊かさは70年代に戻った?GDPは4位?賃金は韓国以下?どの調査が正しいのか
連載:野口悠紀雄のデジタルイノベーションの本質
中国はすでに世界一の経済大国?
GDPで見て、世界一の経済大国は米国であり、中国がそれに次ぎ、日本が第3位。これが普通の人が考えている世界像だろう。たしかに、IMF(国際通貨基金)の統計サイトを見ると、市場為替レート評価では、米国、中国、日本の順だ。
ところが、同じサイトには購買力平価によるデータもある。それによると、GDPの規模で、中国、米国、インド、日本の順になり、中国が米国より上位、インドが日本より上位になる。
この指標で中国は2017年に米国を抜いた。インドは2009年に日本を抜いている。いったいどちらが正しいのか?
日本の生産性が他国に比べて低いと、よく言われる。あるいは、日本の賃金が他国に比べて伸び率が低く、最近では韓国に抜かれたともいわれる。しかし、別のデータを見ると、韓国の値は、まだ日本より低い。どちらが正しいのか?
あるいは、円の実質的購買力が1970年代後半と同程度にまで低下してしまったことも話題になった。これは、一体どういう意味なのか?日本人の生活レベルが、1970年代後半まで戻ってしまったということだろうか?
以上で述べた問題は、各国間の比較を行う場合の為替レートとしてどのようなものを用いるかに関連している。そしてこれは、かなり分かりにくいものだ。
「購買力平価」とは何か?
国際比較を行う場合に最も分かりやすいのは、その時点における市場為替レートを用いることだ。ただ、多くの国際比較データで、これとは異なる為替レートが用いられている。それは「購買力平価」という概念だ。
この概念は、それほど簡単ではない。その意味を正確に理解しないで使うと、誤った結論に導かれるおそれがある。
今、日本では消費者物価上昇率が0%であるが、アメリカでは10年間に20%上昇するとしよう。
賃金上昇率が物価上昇率と等しいとすれば、いまから10年後に日本人がアメリカで同じものを買えるためには、為替レートが今より20%ほど円高になっていなければならない。
仮に現時点のレートが1円=0.009ドル(1ドル=110円)であるとすれば、1円=0.0109ドル(1ドル=91.7円)になっている必要がある。このレートが、2020年基準での2030年の購買力平価である。
なお、この計算での物価としては、消費者物価以外のものが用いられることもある。
【次ページ】購買力平価は、為替レートのあるべき姿を示す
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