UBSがプロジェクトを立ち上げたこともあり、欧州勢が中心となっている。米国はCiti、Bank of AmericaやJP Morgan Chaseといった上位行は参加しておらず、カストディビジネスに強みを持つBYN MellonやState Streetが参加していることは特徴的である。日本はメガバンク3行がそろって創立メンバーに名を連ねているが、メディアでの扱いはあまり大きくなかった。
既に、中銀における金融機関口座間で即時決済を行うことによって決済リスクを回避するReal Time Gross Settlement(RTGS)は、日銀ネットなど各国中銀で実現しているが、USCを利用することによって、金融取引と清算・決済を一体的に処理することが可能となり、金融機関の資金効率が向上することが期待される。USCが銀行間で利用できるインフラとして定着すれば、将来的に機関投資家などに利用範囲を拡大する余地はあるが、個人の決済手段として利用することは想定されていない。
FNALITYの構想を実現するためには、中銀預け金を見合いにUSCを発行するための決済用口座(omnibus account)を設定する必要があるが、英中央銀行(Bank of England)はこうした口座の設定を認めるとともに、運用に関する具体的な方針を発表した。これにより、FINALITY実現の裏付けができたことになり、実用化に向けて前進した。今後は他の中銀がどのように対応するかが注目される。