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  • 2020/03/31 掲載

GAFAを意識した規制に注目、2020年度に金融機関が確認すべき法改正とは

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2020年も、多くの法改正が行われる。注目は、先進的な規定を設ける割賦販売法改正、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)などに代表されるデジタル・プラットフォーム規制関連や、個人情報に関する法改正だ。前編に引き続き堀天子氏(Fintech協会 理事/ 森・濱田松本法律事務所 パートナー弁護士)が解説する。
監修:森・濱田松本法律事務所 堀 天子 執筆:吉澤 亨史

監修:森・濱田松本法律事務所 堀 天子 執筆:吉澤 亨史

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フィンテック関連の法律で注目すべきポイントは
(Photo/Getty Images)
※本記事は、一般社団法人Fintech協会が1月に記者向けに開催した「2020年に注目すべきFintech法改正」での講演内容をもとに再構成したものです。

 

注目すべきは「割賦販売法」の改正

 前回の記事「続々と施行、堀天子 弁護士が語るフィンテック関連で確認すべき法改正とは」に続き、堀氏は「割賦販売(割販法)法の改正を注目すべきだ」と強調した。

 割販法については、2019年6月の成長戦略実行計画で、割賦販売法の与信審査における性能規定の導入など、フィンテック企業をはじめとした多様な決済事業者の事業展開を可能とする仕組みの導入を求める諮問がなされた。

 そして、経済産業省の産業構造審議会商務流通情報分科会 割賦販売法小委員会において、割販法の改正内容が明らかになった。2020年中に改正案が国会に提出された割賦販売法の内容は以下のとおりであるという。

 改正内容の大きなポイントとしては、決済テクノロジーが進展する中、決済サービス・主体が多様化し、新しい技術・サービスも出てきていることから、少額の分割後払いサービスについて「少額の包括信用購入あっせん業者」の登録制度を創設するとともに、限度額審査について、蓄積されたデータなどに基づく高度な審査手法を許容する「性能規定」の導入、QRコード決済事業者などをクレジットカード番号などの適切管理義務の対象に追加するなどの措置を講じる点である。

 ICT技術の進化により、従来は取得できなかった膨大なデータが取得可能になった。一方、従来の規定では、これを活用・分析し、リスクベース・アプローチで審査しようとすることはできない。この技術の進展に対して、「柔軟な審査方法が正面から認められることに意味がある」と堀氏は言う。

 「指定信用情報機関の登録義務」や「情報の使用義務」については、引き続き維持される。検討会ではこれらをシームレスかつリアルタイムに連携するためにシステムを変えていくための話し合いが継続されることが確認されている。

 堀氏は「フィンテック企業がこうした審査の実行性をさらに上げるという観点でも、期待できるようになるのでは」との見解を示す。
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割賦販売法の改正
(出典:Fintech協会)
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割賦販売法の改正(2)
(出典:Fintech協会)

「デジタル・プラットフォーマー規制」にも注視

 堀氏は、直接フィンテックに関わらないが注視すべき法改正として「デジタル・プラットフォーマー規制の新設」「デジタル市場のルールの整備」「個人情報保護法の改正」などを挙げた。

 デジタル・プラットフォーマー規制とは、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)などに代表されるデジタル・プラットフォーム企業の台頭によって市場アクセスや新規顧客開拓機会などさまざまな可能性が生まれた反面、「個別交渉が困難である」「規約などが一方的に変更される」「利用料・手数料が高い」「検索結果が恣意的・不透明である」という声が発生していることを受けて設定されたものだ。

 そこでデジタル・プラットフォーマー規制に関連した専門組織を創設するとともに、デジタル・プラットフォーム企業と利用者間の取引の透明性・公正性の確保のためのルール(デジタル・プラットフォーマー取引透明化法<仮称>)を整備するという。

 また、個人情報保護法の見直しや、関連法律である「消費者保護関係法令」「電気通信事業法」「旅行業法」を改善し、一国二制度の状況を解消する。これらにより、データ流通の安全性と円滑な流通を確保し、データ連携・流通による新たな事業創出などを図る。
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デジタル・プラットフォーマー規制の新設
(出典:Fintech協会)

デジタル市場のルールの整備にも注目

 また堀氏は、「デジタル市場のルールの整備にも注目すべきだ」と指摘した。

 具体的なトピックとしては、「データ流通の安全性、円滑な流通確保」「データ連携・流通による新たな事業創出」「デジタルガバナンスコード(国が策定する企業経営における戦略的なシステムの利用の在り方の指針)」「DX(デジタルトランスフォーメーション)格付制度(経済産業省の先進的なデジタル経営に取り組む企業を格付けする制度)」など、社会インフラのシステム改革」「ネットワークのさらなる強化と産業活用の推進」、そして「サイバーセキュリティの強化」を挙げた。

 そこからは、データを共有するためのアーキテクチャやプラットフォームの整備、AIの開発・シェアリングエコノミーの推進、DX、5Gなどの新技術に対応したルール整備であることが読み取れる。

 これらのルール整備によって、「Society5.0」や企業のDXの促進が支援され、新たなビジネスの創出が期待される。

 ただし、独占・寡占化が進みやすいデジタル・プラットフォーム企業について、取引環境の透明化・公正性の確保を図る趣旨であるが、定義が拡大すると対応が必要となる企業が増大する可能性もあると堀氏は指摘した。

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デジタル市場のルール整備
(出典:Fintech協会)

【次ページ】個人情報保護法の改正
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