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- 2024/07/11 掲載
イギリスで深刻化する「富裕層の流出」、流入先で「日本も意外と人気」のワケ
イギリスから富裕層大量流出、その理由
イギリスから富裕層が大量に流出している実態が、新たな調査で明らかになった。Henley&Partnersが2024年6月に発表した「Henley Private Wealth Migration Report」で、2024年はイギリスから9500人の富裕層が純流出すると予測されている。この数字は、2023年の4200人から2倍以上に増加しており、過去最高を更新する見込みとなる。2024年に最大の純流出が見込まれているのは、1万5200人の中国。イギリスは、この中国に次ぎ、世界2番目の純流出国になる。
かつてイギリス、特にロンドンは、世界の超富裕層にとって主要な移住先として人気を博していた。1950年代から2000年代初頭にかけて、ヨーロッパ本土、アフリカ、アジア、中東から多くの富裕層がイギリスに移住していたという。しかし、この傾向は約10年前から逆転し始めた。特にブレグジット後の2017年から2023年の6年間で、イギリスは合計1万6500人の富裕層を失ったとされる。
イギリスからの富裕層流出の背景には、複数の要因が存在する。Henley&Partnersは、その主な理由として以下の点を挙げている。
- 非居住者(非ドム)への課税強化
- キャピタルゲイン税や相続税の高さ
- テクノロジー分野における米国やアジアの台頭
- ロンドン証券取引所の地位低下
- 医療システムの悪化
- 大都市における治安の悪化
さらに7月4日に行われた総選挙は、労働党の大勝が事前にわかっており、富裕層流出を加速させている。
労働党は公共サービスへの資金提供を強化するため、富裕層を対象とする課税案を表明しているからだ。具体的には、非居住者への課税強化、課税回避策の除外、私立学校への税制優遇措置の撤廃、非居住者による住宅購入への課税強化などが公約に含まれている。 【次ページ】世界で進む富裕層の移動、流入トップの国は?
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