• 会員限定
  • 2024/02/27 掲載

戦後最大の重大局面、2024年春闘「賃上げ率7%」以下だと…未来は「絶望的」のワケ

  • icon-mail
  • icon-print
  • icon-hatena
  • icon-line
  • icon-close-snsbtns
会員になると、いいね!でマイページに保存できます。
春闘がスタートし、賃上げ率が何パーセントになるのか注目が集まっている。労働側は5%という目標を出しており、経済界も前向きに検討するとしているが、賃金が物価に追いつくためには7%程度の賃上げが必要である。7%の難易度は高いとはいえ、今の日本経済の実情を考えると、岸田首相はもっと強く賃上げを求めても良いはずだ。
photo
2024年の春闘がスタートし、賃上げ率が何パーセントになるのか注目が集まっている
(Photo/Shutterstock.com)

賃上げはベアで議論しないと意味がない

 春闘で議論される賃上げ率というのは定期昇給分を含んだ数字である。定期昇給というのは、年次が上がると自動的に賃金が上昇する分のことであり、これは当初から決まっていた数字であり、労働者にとって本当の意味での賃上げとはならない。

 昨年より賃金が上がったと労働者が実感するためには、賃金全体の底上げを行うベースアップ(ベア)が何%なのかが重要となる。今回、労働側は5%の賃上げを求めているわけだが、定期昇給分を除くとベアはおそらく3%程度にとどまると予想される。

 去年の春闘の実績などから考え合わせると、この数字では労働者の生活は良くならない。少なくとも物価に賃金が追いつくためには、定期昇給分込みで7%程度の賃上げが必要となる。一部の優良企業はこうした現実を踏まえ、7%以上の賃上げを表明しているが、まだ少数にとどまっている状況であり、中小企業も含め大胆な賃上げが社会全体に広がるという状況ではない。

画像
なぜ、今回の春闘が日本経済の重大な岐路になると言えるのか?
(Photo/Getty Images)

 戦後の日本経済を通じても、今回ほど交渉結果が日本経済に大きな影響を及ぼす春闘はないと思われる。結果次第で、国内の個人消費はもちろんのこと、日銀の金融政策も大きく変わることになるだろう。7%賃上げのハードルが高いことは重々承知の上だが、それでも岸田政権は大企業に対して7%の賃上げを要請すべきと筆者は考える。

 説明するまでもないことだが、賃上げの原資は企業が生み出した付加価値(財務会計ベースでは売上総利益、いわゆる粗利益)なので、理屈上、企業が儲からないと賃上げはできない。だが、利益が上がらないので賃上げを実施しないというロジックが30年も続き、日本人の賃金は著しく下がってしまった。

 先日、日本とドイツのGDP(国内総生産)が逆転したことが話題となったが、このままの状態が続けば、人口が多いインドはもちろんのこと、ブラジルやインドネシアなどにも追いつかれる可能性が否定できなくなってくる。今回、大幅な賃上げを実現し、国内消費を拡大できるのかは、今後の日本経済における重大な岐路と言えるのだ。 【次ページ】日本の大企業は甘やかされている
関連タグ タグをフォローすると最新情報が表示されます
あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

人気のタグ

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

必要な会員情報が不足しています。

必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。

  • 記事閲覧数の制限なし

  • [お気に入り]ボタンでの記事取り置き

  • タグフォロー

  • おすすめコンテンツの表示

詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!

詳細はこちら 詳細情報の入力へ進む
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます