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- 2023/12/26 掲載
「世界で最も影響力のある保険テックイベント」では何が語られているのか?
「最も影響力のある保険テックイベント」ITC Vegas 2023
Insurtech Connect(ITC)は、各国の保険業界関係者やスタートアップ、投資家等が集まる国際カンファレンスで、「ITC Vegas」は、その中でも最大のイベントです。今回は約9000人が参加し、日本からも私の感覚値で100人近くが参加していました。イベントの主なコンテンツはセミナーと展示会です。100以上のスポンサー企業によるプレゼンテーションやパネルディスカッションが開催され、その多くがタイトルに「Generative-AI(生成AI)」を冠し、必ずといっていいほどAIの話題が盛り込まれているのが印象的でした。また、幕張メッセのような会場に500近くの企業の展示ブースが設置され、製品やサービスのデモや商談が行われていました。
生成AIについて「保険テック領域」で議論がされていること
2023年はChatGPTを中心に生成AIの話題で非常に盛り上がった年でした。ITC Vegas 2023においても、生成AIが最大のホットトピックだったことに間違いありません。生成AIの活用事例として多く見受けられたのが、保険会社や保険代理店の業務支援ツールとしての導入です。その1つの事例がIRYSというスタートアップの「IRYS Cloud」。保険代理店向けの営業活動支援SaaSのCopilot機能として生成AIを導入し、「顧客にどのような商品を案内したらいいのか」と尋ねるとシステムの中の契約データや顧客データを分析し、的確な答えを返してくれるというサービスです。
チャレンジングな事例も紹介しましょう。Lula Technologiesの「GAIL」は保険に特化したAIツールで、人間のようなAIが、音声やSMS、Eメールを使って見込み客に保険を販売するというものです。興味深いには、このAIツールはフロリダ州など複数の州の保険免許試験、日本でいう保険募集人資格試験に合格していることです。ですから保険を販売しても問題ないというわけです。
こうした事例がどんどん登場してはいるものの、規制や透明性の課題にどう向き合うかという議論も含め、日本同様、海外でも生成AIへの期待と懸念が渦巻いている状態で、現段階での生成AI活用はまだ入口の段階だというのが正直なところです。
技術的な側面でいうと、生成AI活用の技術的なハードルはかなり低くなっているのは確かです。しかし、LLM(大規模言語モデル)全体にいえることとして、プログラミングではなく学習によって回答を出しているため100%の正確性は担保できません。ここを保険会社がどう整理をしていくのかという点が一番の課題だと考えています。ただ、LLMもかなりのスピードで成長していることに間違いなく、領域によっては人よりも精度が上がり速度も速くなってきています。人よりも優秀になるのは時間の問題かもしれません。
「GAIL」の事例のように、AIによる保険の販売免許資格取得を認めるのか、言い換えるとAIに人格を与えることが現実として許容できるのかが、重要なポイントになっていくでしょう。そのための法規制の整備がどう進むのかも、AI活用拡大のポイントになると見ています。
セミナーでは「5~6年前に『これからはクラウド!』といっていたときと同じような気配だ」という話も聞かれました。当時、クラウド活用によるデータの安全性への懸念に言及する人が多くいましたが、今ではすっかり普及しているという趣旨でした。生成AIもそれと同様なのではないかという見方は、非常に印象に残っています。
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