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- 2023/04/07 掲載
マイクロソフト、自社ブラウザ「Edge」にクリプトウォレット統合。グーグル攻略へ
Edgeへのクリプトウォレット統合
グーグルが圧倒的な市場シェアを有するWebブラウザと検索エンジン市場だが、このところマイクロソフトのシェア拡大に向けた動きが顕著となっている。直近では、マイクロソフトが同社Webブラウザ「Edge」に、クリプトウォレット機能を統合し、社内で試験運用しているとのリーク報道があったばかり。
情報源は、Windowsの未リリース機能をリークしているツイッターアカウント「Albacore」だ。同アカウントは2023年3月18日付のツイートで、Edgeブラウザのクリプトウォレット機能のスクリーンショットを公開した。
スクリーンショットの1つでは、このクリプトウォレットがNon-custodialであるとの説明があり、マイクロソフトがパスワードや回復キーへのアクセス権を持たないものであることが示唆されている。一方、他のブラウザ拡張機能とは異なり、Edgeブラウザに直接組み込まれたものになることも示されている。
またスクリーンショットには、クリプトアセットのスワップ、送信、購入が可能であること、暗号通貨取引所CoinbaseやWeb3ペイメント企業MoonPayを通じて、暗号通貨を入金・購入できる様子も表示されている。
さらに一連のスクリーンショットの中には、「browse different marketplaces to find your first NFT, as you build your collection of NFTs(NFTコレクションの構築に向け、1つめのNFTを見つけるため、複数のマーケットプレイスを閲覧する)」とする文言を含むページも含まれており、少なくともNFTマーケットプレイスの閲覧機能があることも確認できる。
さまざまなメディアはAlbacoreのリーク情報を参考に報道を行っているが、The Vergeは、これに加えて、独自に得た複数の関係筋からの情報も伝えている。
それによると、Edgeのクリプトウォレット機能は現在社内でテスト中であり、最終的に一般向けにリリースされる予定という。試験運用するにあたり、最近マイクロソフト社員にクリプトウォレットへのアクセス権が与えられ、利用できるようになったようだが、社内では物議を醸す取り組みになっているとも伝えられている。Edgeチームの多くがレイオフの対象になったことが背景にあるようだ。
グーグルのWebブラウザと検索エンジン市場に攻勢
Webブラウザといえば、グーグルのChromeが市場シェアの大半を占めて久しい。マイクロソフトは、Edgeや検索エンジンBingの機能拡張により、このグーグルの牙城に攻め入る姿勢を強めている。Bingに関しては、ChatGPTのベースモデルであるGPT-3.5より優れているGPT-4と統合したほか、チャット機能に加え、Compose(文書生成)機能やInsight機能など新たなAI機能を追加することで、新規ユーザーの獲得を狙っている。また、Edgeでしか利用できない機能をあわせてリリースするなどした。
Edgeが初めて登場したのは2015年、Windows10とXbox Oneに付随する形でリリースされた。リリース当時のEdgeは、マイクロソフト独自のブラウザエンジンEdgeHTMLとChakra JavaScriptで構成されるブラウザであったが、その後Chromiumベースで再構築され、2020年1月に新Edgeとしてリリースされた。
グーグルChromeもChromiumベースのブラウザであり、新Edgeとは互換性がある。これにより、ブラウザ設定、ブックマーク、拡張機能などを相互にシンクロすることが可能になり、Chromeからこれらのデータを移行し、Edgeをデフォルトブラウザとして利用し始める人もいたようだ。
実際の数字からもそれを示唆する動きを見て取ることができる。 【次ページ】Edgeのシェアが急浮上
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